第4話  あいはらクリニック

 あいはらクリニック

 診療日 :月~金

 診療時間:午前9時~12時30分

     :午後2時~6時

 診療科 :内科・循環器内科

 院長  :牧 君子 (旧姓 相原)

 事務長 :牧 健太

 事務員 :待田 つばさ

      田原 まこと

      太田 秋子


 というのが、現在のクリニック構成。

 事務長は、院長の高校のころの後輩で、会社勤めが向いていない人。

 なれそめは、聞いていないが、どうやら院長が「稼げる人が、稼げばいいじゃない」と、のたまったらしい。

 地元では、美人女医で評判も上々。

 しかし、お上品そうに見えて、物事をはっきりと言うところもあって、事務長は逆らえない。

 だからか?職場での事務長は、単刀直入なものの言い方で、少しパワハラ気味。

 田原さんとは、犬猿の仲である。


「ちょっと、こんなところまで何?」

「だから、家のことをもっとちゃんとだな…」

「今日一日ぐらい、大雑把になっても大丈夫でしょ。あなたがやってくれても、構わないじゃない」

「家のことは、女がするもんだろ」

「いつの時代のはなし?今どきは、男子でも家事をするものよ」

 うん?なんだ?もうすぐ、午後の診察なのに…

 院長と事務長?喧嘩かな?

「あの~、もうすぐ開錠しますけど…」診察室をのぞき込む。

「あら、ごめんなさいね」

「…」院長を仏頂面で見ている事務長。


 私にも、離婚前の言い合いはよくあった。

 妻、母だけではなく、社会人としての私。

 そこを、理解してくれない元主人。

 世の中の女性が、社会進出するのは賛成だけど、自分の妻が、そのうちの一人であるという認識がゼロなのだ。


 事務長は、院長がいなくなると困るだろうから、自分から離婚を言い出すことは無いとは思うが、院長は、彼のどこをみて一緒になったのか?いささか疑問が残る問題ではある。


                       つづく




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