第3話 ジャンボ秋子 

〈ジャンボ秋子〉

 高校での私への陰口。

 なにせ、身長170cm。

 水泳経験ありで、肩幅もある。

 男子なんか、「あの肩幅で、廊下が狭くね」と面と向かって言ってくる。

 そんなとき、とあるギャルが「ふざけんな!あやまんな!」

 と私をかばってくれた。

 それがきっかけで、あれよあれよという間に、私もギャルの仲間入りをした。

 大学へは行かなかった。ギャルでいるのが楽しかったから。

 親からは、「好き勝手だけさせるわけには、いかない」と言われ、自分の小遣いぐらいは、稼げるように、バイトだけはしていた。

 ギャルの格好でも、受け入れてくれたのは、テレアポだった。

 今思うと、ありがたかったのは、言葉遣いを教えてもらえたこと。

 顔が見えないからこそ、語尾の上がり下がりや、語気の強弱など電話応対の基礎は、徹底して覚えさせられた。

 しかし、順調かにみえたバイトも、変な噂を流されて、退職に追い込まれた。

 私が、婚約者のいる上司と、浮気をしているというものだった。

 誰もが私を黒だと決めつけて、こっちの言い分など一切聞いてはくれなかった。

 その上司とは、業務上の会話しかしたことがなく、完全に濡れ衣だった。

 のちの伝聞によると、私を妬んだとある先輩が、流した噂だったらしい。

 妬まれる覚えはなかったのだが、今となっては、確認のしようもない。

 退職後はしばらくブラブラしていたのだが、親の冷ややかな目に耐えられず、バイト探しをすることにした。

 この時に、ギャルの格好も卒業した。

 大人の格好になったのだから、職探しの幅も広がった。

 今度はクリニックの受付事務。

 病院なんて、今までご縁の無い場所だから、仕事の内容がいまいちイメージしづらいのだが、チャレンジすることにした。

 国家資格ではないけれど、資格取得のための、講座などもちまたにはあふれているらしい。


 新しい自分の可能性を信じて、やる気に燃えている太田さん。

 実は、タメ口がでやすく、占いにはまる傾向にあるのだが、それはまた別の話。


                       つづく



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