第6話

夜が明け、香織、涼介、レベッカ、アブドゥルは新たな調査地点に向かって出発した。彼らの決意は固く、敵を追い詰めるための準備は万全だった。次の遺跡に到着すると、すぐにBMCの手がかりを見つけた。


「気をつけて。ここにはまだ多くのトラップが仕掛けられているはずよ。」香織が囁くように言った。


「了解。進もう。」涼介は銃を構え、先頭を切って進んだ。


トンネルの奥へと進むにつれ、彼らは微かな足音を聞き取った。敵が近くにいることが確実になった。


「急ごう、彼らを逃すわけにはいかない。」涼介は前方を警戒しながらスピードを上げた。


突如、遺跡の中央ホールにたどり着いた。広大な空間には、古代エジプトの壮大な彫刻や壁画が描かれていた。その中央には、宝石が輝く台座があり、神秘的な雰囲気を醸し出していた。


「ここが最後の決戦の場ね。」香織が静かに言った。


「来たぞ。」涼介が前方を見つめながら低く言った。暗闇の中から、アレックス・ヴァン・ホルンとその部下たちが姿を現した。


「ようやくたどり着いたな。しかし、ここで終わりだ。」アレックスは冷酷な笑みを浮かべ、銃を構えた。


「その宝石は私たちのものよ。」香織は毅然とした態度で言い放った。


アレックスの手下たちが一斉に攻撃を開始した。銃声が響き渡り、ホール全体が激しい戦闘の場と化した。涼介はその卓越した銃の腕前で次々と敵を撃ち倒していった。


「香織、右側だ!」涼介が叫び、香織は素早く右側に身を翻し、敵の攻撃をかわした。


「全員、気をつけて!」レベッカも銃を構え、敵に対して応戦した。


涼介はトンネル内のトラップを巧みに利用し、敵を次々と追い詰めた。彼は的確なタイミングでトラップを発動させ、敵を混乱に陥れた。


「ここで終わりにする!」涼介は叫び、アレックスに向かって突進した。彼の銃から放たれた弾丸は、アレックスの銃を弾き飛ばした。


「くっ…!」アレックスは悔しそうに唇を噛み締めたが、涼介の決意に圧倒され、ついに降伏した。


「香織、全員無事か?」涼介は振り返り、仲間たちの無事を確認した。


「全員無事よ。あなたのおかげね、涼介。」香織は微笑みながら答えた。


「これで一安心だ。でも、まだやることがある。」涼介はアレックスを拘束し、BMCの残党がいないか確認するために遺跡の調査を続けた。


しかし、その瞬間、遺跡の天井から大きな石が崩れ落ちてきた。涼介は一瞬で反応し、香織とレベッカを守るために身を挺して飛び込んだ。


「涼介!」香織の叫び声がホールに響き渡った。彼らの運命は、今や一瞬の判断にかかっていた。


涼介が崩れ落ちる石を避けきれず、その場に倒れ込んだ。香織は駆け寄り、彼の無事を確認しようとしたが、石の下に埋もれた涼介の姿が見えた。


「涼介!しっかりして!」香織は必死に叫んだ。しかし、その目の前で、アレックスの冷酷な笑みが再び広がった。


「終わりではないさ。この戦いはまだ続く…」アレックスの声が静かに響き、闇が再び彼らを包み込んだ。

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