第14話 ダンジョン

恐る恐る扉を開けるモルテ。辺りは寝静まっていた。ほっと胸をなでおろすモルテ。

「遅かったね。おかえり〜〜」

 手を乱雑に振るナハトがいた。

「バレてましたか」

 ナハトも魔族のため休む必要がほとんどない。

「あんだけ濃い魔力纏ってたらなんかあったんだろうなって分かるよそりゃ」

「他の皆さん...特にマレクには内密にしていただけると」

「分かってる。君は本当に何でも抱え込むね〜〜〜」

 ナハトにだけは言われたくない。モルテはそう思ったが口を噤んだ。ナハトも未来視により何を見ているのか分からなくなるときがある。ナハトは顔色一つ変えてはいないが内心はどう思っているのだろうか。


 

「...これが起こった出来事です」

 モルテはナハトに情報を包み隠さず話す代わりにモルテが密かに行っていることをナハトが他の者に言いふらさないようにしてもらう契りを交わした。

「なるほどね。神界だけじゃなく騎士団も敵かあ」

「動きづらくなってきましたね。仕方ないことですけど」

「問題は神界に行く方法が無いことだよね〜〜分かりやすく扉でもあればいいのに」

「そんな都合のいいものがあるわけ...いや」

 モルテにとって苦い記憶を無理矢理引き出す。

 「勇者は俺の目の前で神に連れ去られました」

 モルテは拳を握り込む。

「勇者が神界に行けたということは俺にも行けるはずなんです」

「確かに...でも創造神が行けるように許可しただけなら俺達は無理じゃね?」

「いや勇者に権限を与えたら逃げられるでしょうし...そういうリスクは避けると思うんですよね」

「そっか。捕縛が目的ならわざわざ権限与えないか」

「なので夜が明けたら勇者が連れ去られた場所に言ってみようと思います。かなりの年月経っているので今はどうなってるか分かりませんが...」

「おっけ。全員で行く?」

「いや危険なので俺一人で行こうかと」

「俺も行くよ。家はレーベンくん達に頼んでみんなを守ってもらおう」

「ええ...まあナハトがいいならいいですけど」

「問題はミディ達だな〜〜〜〜置いてったらたぶん怒ると思う」

「危ないところに行くって知ったらやばい」

「じゃあ危険なことは隠して行きましょう。調査って名目で」

「う〜〜〜ん大人しく家にいてくれるといいけど...」



「俺も行くぞ!」

 ミディは声高らかに宣言する。

「私も...ハイスの手がかりがあるかもしれないし」

 セイラもハイスのことになると前向きだ。

「僕も行きたい。一応後継者だし何かの役に立てるかも」

 マレクも興味があるのか積極的になっている。

 (やっぱり...)

 ナハトの予感は的中していた。

 (マレクまで...まあ仕方ないか。いざとなったらアレもあるし)

「いいですよ。その代わり大人しくしててください」

「モルテ!」

「大丈夫。俺に任せてください」


「そういえば目的地ってどこなの?」

「ダンジョンです」

「「「「ダンジョン!?」」」」

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