第7話 探し人

 翌日。

「それでセイラちゃん。俺達を訪ねてきた理由、聞いてもいいかな?」

 無言で頷くセイラ。言いにくいことらしく言い淀みつつも話し始める。

「人を探してほしいの」

「人かぁ。特徴とか分かる?」

「...わからない。わからないの」

「自分でもおかしなこと言ってるって思う。でも何故かその人のことだけ思い出せなくて...大切な人だったことだけはわかるんだけど...」

 横からモルテが口を挟む。

「記憶いじられてる可能性がありますね」

「やっぱそうだよね」

「信じてくれるの...!?どこへ行っても聞いてもらえなくてバカにされてて...だから...」

 セイラは涙をぽろぽろと零す。

「信じるよ。今まで大変だったんだね」

 セイラの頭を撫でるナハト。モルテ達3人は冷めた目でナハトを見る。

「ナハトお前...それ誰にでもやってんのか...?」

「罪深い男ですね」

「素でこれなんだ...」

 ナハトはきょとんとしている。

「え?何?」

 ナハトは思わせぶりな言動と不死性から厄介な女性とのトラブルに巻き込まれることが多い。痛めつけられることもしばしばだ。

 

「話を戻しますよ。何か記憶を封じる魔法がかけられてるなら俺でどうにかできるかと」

「ほんと!?お願い...」

 頭を下げるセイラ。すかさずモルテはセイラの頭部に手をかざす。無効化能力で記憶を取り戻せないか試すつもりなのだ。

「覚悟はいいですか?つらい記憶かもしれませんよ」

「うん。覚悟はできてる」

「行きます」

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