後章(記念すべき第2話←2話で終了)
「山田は、ニャンニャンワンワンパオンパオンランドに揚げたい焼き奢ってくれるんだよな?」
帰っている最中、愚かな花岡は言って来た。
「ああ奢るさ。悔しいがな。別にあんたのために奢るわけじゃないんだからね!」
つい、ツンツンしてしまう乙女が出てしまった。内なる乙女が。
「じゃあ何のために奢るの?」
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!お前は、別にあんたなんか好きじゃないから!って言ってくる子に対してじゃあ死ねば?って言うのか?最低な野郎だな!」
ツンデレという至高の存在を侮辱された気がして激怒する。
「死ねばとは言わないだろ。」
「確かにな。俺が悪かった。史上最低最悪のゴミだ。」
反省出来る所が自分の素晴らしいところだと思う。
愚かな花岡には無視されたが、無事絶対毒入ってますよ亭に着いた。揚げたい焼きはやはり人気なのか、何人も並んでおり店員さんはせっせと揚げたい焼きを作る。一応お弁当屋さんなんだけどな。
「めっちゃ人並んでるな」
「そうだな。まあ揚げたい焼き美味いし仕方ない。」
人生の無駄と言っていいほど他愛も無い会話をしていた時、前に並んでいる客が喧嘩をしていることに気づいた。
「はあ?!俺だって知らないっすよそんなこと!!」
「ああ?!何様だお前!!?」
顔を真っ赤にして言い争っている。まるでトマトの様だ。ちなみにトマトよりもミニトマトの方が栄養価が高い。
背が小さくて気づかなかったが、間に子供が立っており仲裁しようとしている。そんな大人顔負けの立派な子供が話しかけてした。
「お父さんが喧嘩しているんだ、止めて欲しい!」
子猫のような目で懇願してきた。このかわいいガキめ。前前世で世界を救い、世界の覇者になって国民の意見を尊重しまくっていたら自分で判断できない無能と言われ次の勇者に殺されたこの哀れな俺がお前を救ってやろう。
「止めてあげよう、どっちがお父さんだい?」
「それがわからないんだ!」
さて、困ったな。今世で世界は救えないようだ。
「流石に無理だ。」愚かな花岡が困った顔で言った。そうしてガキは泣いてしまったが、数分後揚げたい焼きを3人で仲良く食べて帰って行った。揚げたい焼きは凄いな。
「ご注文はお決まりですか?」
バイトだろうか?高校三年生くらいに見える。三年生なら怖いなと思いつつ答える。
「揚げたい焼きを2つください。以上です。」
「わかりましたー。」
若々しく返事をしてくる。くうー!眩しいぜ!
「2つもくれるなんて異常だね。」隣で愚かな花岡が言ってくる。
「1つずつだよ。」正直2つ上げた方がかっこよかったかもしれない。
「揚げたい焼き2つのお客様ー。」
全員揚げたい焼きを頼むため誰の注文かは分からないが恐らく俺たちのだろう。注文を受け付けていた人とは違う人だ。この人は高校一年生くらいに見える、怖くないぜ。
「はい。」
「熱いのでお気をつけください。」
うちの高校だろうか?気遣いが出来てとてもいい子だ。バイトをしているんだろう、一ヶ月後にはバイトリーダーくらいにはなれるだろう。
「はい。」
将来有望な青春に、乾杯。そう思いながら揚げたい焼きを受け取ろうとした時、有望バイトちゃんは言った。
「そして先生達、ご結婚おめでとうございます。」
やはりうちの高校生か。
「うちの高校生かな?ありがとう。そりゃあんなに人がいる所でプロポーズしたらみんな知ってるか。」
超絶スーパーバチクソ強力磁石ワイシャツの件の後、愚かな花岡は大丈夫?と心配してきた。その時、やはり俺はこいつの事が好きだ。となり、プロポーズした。そして何故か成功した。
「ありがとう。あんな場所で告白されるとは思わなかったよ。てかまず告白されると思ってなかった。」
愚かな花岡は苦笑いしながら言う。惚れてから全てが愛おしく思える。お前こんなに綺麗だったのか。
「ですよね!前からお似合いだなーって思ってましたけど、まさか食堂で告白するとは思わなかったですよ。で、愚かな花岡先生は山田先生のどこに惚れたんですか?あっ苗字同じになるのか?」
この子は無意識のうちに結婚いじりをしてくるな。一年生も恐ろしいかもしれない。
「ニャンニャンワンワンパオンパオンランドはー、そんなに女の性別の自分が好きじゃなくてね。私っていう一人称も出来るだけ使いたくなくて、けど俺っていうのも変だしなと思ってニャンニャンワンワンパオンパオンランドにしたりしてるんだけど。」
ニャンニャンワンワンパオンパオンランドも全然変だけどな。
「別に恋愛対象は男の人なんだけどね!それで山田が食堂で、ニャンニャンワンワンパオンパオンランドに言ってきたんだよ。男に二言は無いぞって。それで一気に楽になったんだよね、あーこの人ならニャンニャンワンワンパオンパオンランドのことを受け入れてくれるのかもな。って。それを悟られないようにふたこと?ってわかんなかったフリしたけどね。国語教師だから出来た芸当だよ。」
そこだったのか?!?!?!?!?!?!?!ジェンダーレスな時代怒られそうなこと言ったが、まさか吉に転ぶとは。全然何も考えてなかった。てかふたこと?って言ったのに割と深い理由あったのかよ。
「山田先生やるじゃないですか〜。というかふたことってどういう事ですか?」
「二言と書いてふたことって読めるでしょ。」
「あー!てか口頭なら成立しないですよねそれ。」
笑いながら言う。俺の妻をバカにしやがって。ぶっ殺してやる。
「とにかくおめでとうございます。お幸せに〜。」
そういってもう既にちょっと冷めた揚げたい焼きを渡してきた。
「ありがとう。」
そう言って受け取り、帰ろうと体の向きを変えた時だった。
揚げたい焼きがとんでもない勢いでぶっ飛んで行った。
「なんでだよォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!」
今日三度目でさすがに叫んだ。
「嘘でしょ。」愚かな花岡も唖然としてる。
揚げたい焼きがとんでもない勢いで飛んで行った。揚げたい焼きは包み紙を飛び出し空を舞った。2つともだ。綺麗な等加速度曲線運動をし、川へと見事な着水を決めた。
「ドンガラガッシャーーン!!」
つい言ってしまった。流石に言ってしまった。本日二度目の古い効果音だ。揚げたい焼きは沈まず、プカプカと浮いていた。別にカレーうどんの様に宙を浮いたわけじゃない。水面を浮いていた。故郷に帰れて良かったのか?いやタイは海水魚か?
「ごめんなさーーい!揚げたい焼きの入れ物を超絶スーパーバチクソ強力磁石にしてました!!」
またそのパターンか。もうつっこむのも面倒くさい。さっきのは包み紙じゃなかったんだな。
「何してんだお前!!!!!!」
まさかの怒号が聞こえてきた。さっきのカウンター女子だ。UNOをしていたら2枚プラスを何枚も持っている系女子だろう。
「ひっ。」とても怯えているようだった。
「あんだけ超絶スーパーバチクソ強力磁石と間違うなと言ったでしょう?!なんなんだよお前!」
顔を真っ赤にして怒り狂っている。まるでトマトの様だ。ちなみにトマトよりもミニトマトの方が栄養価が高い。
「本当にごめんなさい涙涙涙。間違えちゃって涙涙涙。」
"ナミダナミダナミダ"と口に出している。この子まさか。
「ふざけんな!お前は宇宙人かなんかか!しょうもない!はやく新しいの作れ!」
高校三年生にとって宇宙人は効かないらしい。なんならしょうもないらしい。やはり高校三年生は恐ろしいなと実感する。そんな時だった。
「ちょっとちょっと。お客さん沢山いる前でそんなに怒鳴らないでよ。客を不快な気分にさせるようなことしたらダメでしょ。」
さっき喧嘩をしていた二人のうちの片方が怒号を聞いてかどっからか帰って来た。お前が言うか?それ。後ろにはもう1人とガキもいた。
「この人何者?」
愚かな花岡がガキに向かって聞いた。
「パパはねー、絶対毒入れてますよ亭の社長なんだよ!今じゃパパか分からないけど、社長である事に変わりは無いよ!全国の店舗を様子見してたの!」
ガキは複雑そうな顔で言った。
「絶対毒入れてますよ亭が全国チェーン店ってマ?」
驚きすぎて、内なるギャルが出てしまった。
「俺が新しいの買いますか?」
もう1人の男が言って来た。
「いいんですか?」
「だぁ良いっすよ、俺なんてぺえぺえの平社員なんで。」
「しかも俺の会社のな。」
社長が自慢げに言った。それでいいのか?部下はお前の妻を自分の妻だと思っているぞ?どっちの妻かは知らんが。
「いや、やっぱいいですよ。いらないです。そんなことより超絶スーパーバチクソ強力磁石を店舗から無くす努力をして欲しいです。」
「ギクッ。」
社長は古い効果音を口から出した。同じような奴がいたとは。
「愚かな花岡、揚げたい焼きじゃなくて、指輪、買いに行こう。指輪を買わせて欲しい。揚げたい焼きなんていらない。」
勇気を出して言う。
「かっこいいじゃん。」
俺だってお前をかっこいいと思ってる。それで惚れたんだから。揚げたい焼きなんていらない。一緒に指輪を買いに行こう。
揚げたい焼きなんて、ぶっ飛ばせ。
ぶっ飛ばせ揚げたい焼き! キュンです @kyunkyunsurune
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます