第5話 僕たちの画像が世間に広がる
僕たちの写真集が評判になり、そのことが世間の目に留まるようになると会社員であるアヤ様の噂が広がり、周囲からの目が厳しくなっていった。顔をマスクで隠しているにも関わらず、噂と言うものはあっという間に広がる。当時は副業が禁止されている会社が多かったことも彼女を苦しめることになった。しかも、ボンテージ衣装を着た自分の身体を晒した画像は、会社でも問題視されるようになった。
美しいアヤ様の顔が次第に沈みがちになり、それを見る僕も辛い気持ちになった。元はと言へば僕がアヤ様を緊縛の世界に引きずり込んでしまったのだから、申し訳ない気持ちで一杯だったけれど、僕は家の中では極力明るく振舞い、彼女に一生懸命尽くすようにした。
ただ、その一方で僕の人気は爆発的で、デザインの仕事が手に着かない程忙しくなり、男の娘として週刊誌や男の娘雑誌の表紙を飾るようになってしまった。収入が多くなるにつれて、家を空けることも多くなり、彼女との時間が無くなるのがとても辛かった。
そんなある日のこと、彼女に転勤の話が舞い込んできた。簡単に首は切れないので、彼女を目の届かない場所に飛ばしてしまおうという考えがはっきりしていた。詳しい転勤先は明らかにしないが、もう本社には戻れないかもしれない。それが会社組織のペナルティなのだ。
彼女は、「アユミ、私の転勤先まで着いてきてくれる? もし、それが嫌なら今の会社を辞めようと思っているの。私、仕事よりもアユミが大事よ。一緒にいられないくらいなら仕事は捨てるわ」と言ったのです。
僕は「アヤ様の行くところなら何処へでもついていきます。例えしそれが海外でも、どんな田舎でも絶対離れません。だって、僕はアヤ様の奴隷ですからどんな命令にも従います」と応えた。僕はアヤ様に奴隷にして頂いた時、どんなことがあっても一生離れないと心に決めた。僕はアヤ様がいなくては生きていけないのだ。
転勤で東京を離れる
アヤ様の転勤先は国内で、地方都市だった。僕は海外生活を密かに期待していたので、内心がっかりした。アヤ様と海外で生活できたらどんなに素晴らしいだろう。知っている人が誰もいない外国で暮らしてみたかった。でも、それは叶わなかった。東京から遠く離れた地方で暮らすことになるので、多少の不安はあったけれど、あや様と一緒なので何も心配はいらない。引っ越しは簡単に済ませて僕たちは新しい街に旅立った。
アヤ様が選んだ住まいはマンションではなく、周りに何もない静かな古民家だった。最初はネット環境もなかったため、その工事だけでも時間がかかったが、それさえ整えば僕は何処にいても仕事が出来る。アヤ様は毎日車で会社まで通っていく生活になった。ただ、家が広い分僕の仕事は大変で、掃除だけでも時間がかかる。しかも、買い物は近くにお店がないので、仕方なく自転車を買って遠くまで行く毎日になった。でも、そのお陰で僕は身体が鍛えられ健康になった気がした。
周辺の人たちは僕のことを女の子だと思っている人が多く、姉妹で暮らしていると勘違いしている。このような地方では男の娘などと言う存在は皆知らないし、普段、僕が裸で暮らしていることも知らなかった。
僕は裸でお散歩に連れて行かれたり、天井の梁に縄を通して毎日のように調教された。古民家の梁から吊られて鞭で打たれる姿はとても官能的で、アヤ様はその姿を画像に収めて師匠に送っては感想を聞いているようだった。僕もその画像を見ることがあるが、自分の姿であるのにとても綺麗で、自分の苦しみに歪んだ顔を見ると恥ずかしさよりも、それを見て嬉しそうにしているアヤ様の顔がとても好きだった。
緊縛画像が噂になる
アヤ様の緊縛プレイはエスカレートする一方で、師匠に送った何枚かの緊縛画像がマニアの間で評判になってしまった。世の中には女性の緊縛画像は幾らでもあるけれど、男性の緊縛画像は少なく、その多くは筋肉質の男性が縛られたもので、可愛い男の娘が縛られている官能的な画像は見当たらない。色白でスリムなのにお尻は大きく、胸も多少膨らんでいる男の娘が縛られ、苦しみに堪えている姿はマニアには堪えられない作品なのだ。
勿論、性器はモザイクが掛かっているので、アヤ様以外は見ることが出来ない。でも、そんな姿を見たいというマニアは多いのだ。そして、僕一人の家に写真集の第2弾を出したいという出版社から連絡がきたのだ。僕の毎日は家事のほかにも自分のデザインの仕事もある。主夫に休日はなく、アヤ様にお仕えしている僕にとっては毎日、休む暇もないほどハードだ。でも、前に出した写真集がとても人気になったので、担当者はとても積極的だった。
「古民家の雰囲気がアユミさんをとても官能的にするんですね。今度はメイド服や下着でなく、着物や長襦袢、真っ赤な腰巻で縛られてみませんか? 和風の素晴らしい画像になりますよ」と言って、僕をその気にさせようとする。僕は「アヤ様に相談してから決めます。それまで少し待ってください」と応えて電話を切った。
出来ることなら僕はアヤ様一人の奴隷でいたい。どんなに恥ずかしい姿でもそれがアヤ様の前で、彼女が喜んでくれるのなら喜んで縛られるけれど、撮影となれば前の様にたくさんの人の前で恥ずかしい姿を晒すことになるのだ。その晩、その話をアヤ様にした時、僕は彼女が「私はアユミと静かに暮らしたの。その話はお断りして!」と言ってくれることを期待していた。でも、彼女の答えはそうではなく、「私が緊縛師として成長した姿を皆に見て欲しいわ」というものだった。
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