第12話 一旦記録

あ、記憶しなくては。初日に記録をして以来一度もメモ帳に書き込んでいない。そろそろ書き込まなくては。

目まぐるしい時間を過ごした。


キノシタミミという日本語が彫られている石版を見つけて。さらにその石版には変な日本語が彫られていたんだ。たしか...セノボル?なんとかだったと思う。謎の声の主に襲われたのはその夜だったな。もうだめだ、死んだと思ったら日本語が聞こえたんだよ。かと思ったら美人エルフが目の前に立っていた。まったく、人生っていうのは分からないものだ。


書くことは大体決まった。あとはメモ帳に落とすだけ.....。

あれっ......あれ......。


鞄がない。さっきまでは持っていたはず。

ということは...持ってくるの忘れた...。


「?どうしたんだ?何か落としたか?」


「い、いえ、大丈夫です。」


「?おう。そうか。」


今から戻るなんてできないもんな。諦めるしかないか。はぁぁ。なんで間抜けなんだ...。

エルフは相変わらず不思議そうにこちらを見ていた。

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