第13話 ダンゴ

ダンゴ。それは僕が今跨っているこいつの名だ。名付けの親にはネーミングセンスがないのだと思う。見た目とかけ離れた名で呼ばれるこいつは名前を呼ばれて嬉しそうである。まぁ、嬉しいならいいけどさ。


「ダンゴって名前、あなたがつけたんですか?見た目はかっこいいのに...んー、名前で損してる気がして。」


「お前、ミミ殿が名付けの親だと分かってのその発言か!あぁ?

おい、耳の穴かっぽじってよく聞けよ?ダンゴとはな"この世のどんな花よりも美しい者"という意味だ!それ以上ない名をミミ殿から賜ったんだ!」


「そ、そうだったんですね...その...すいません。(花より団子から言葉をもってきたのか?)」


というかキノシタミミが名付けの親なのか。まぁ喜んでいるならいいか。


「おぉ!花より団子か。いい言葉じゃないか!おい、ダンゴ!今この瞬間からお前の二つ名は"花より団子"だ!」


キューーン‼︎


ははは。まったくお気楽な人たちだ。

キノシタミミよ、君はこんな人たちとこの世界を生きていたのか?




キューーン


少し前で大きく鳴く声が聞こえる。夜の間ずっと怯えていた声。まさかこんな形で聞くことになるとは。ダンゴがなぜ鳴くのかをエルフに聞いた。すると周囲の探索をするためだと教えてくれた。ダンゴは声帯から音と共に高密度の魔力波を出して周囲の状況を把握しているらしい。それにより地形や魔物、土壌の状態まで知ることができるらしい。魔力波?なんだそれ。地球でいうところのイルカとかコウモリが超音波を出すのと同じことなのだろうか。

ダンゴを見るとたしかに鳴くと同時にソニックブームのような透明な何かが広がっていくのが見える。これが魔力波というものか。水面に水滴を垂らしたかのように広がっていくそれは見ていて気持ちがいい。


キューーン


お、また鳴いた。僕はいつの間にかダンゴの声を聞くのが楽しみになっていたようだ。

旅はまだ続きそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る