第9話 会話2
背中の傘が冷たい。次の位置が一瞬で変わってしまっている。
エルフが言う。
「お前、異界からの旅人であったか。それであればこの場所のルールを知る由がなかろう。すまなかった。」
"異界からの旅人"...。
僕はこの世界ではそんな存在なのか。
「謝らなければいけないことがある。さっきこの場所のルールがあると言っただろう。ルールの一つを教えてやる。」
そういえば言ってたな。"この場所の"ってことはここは何か特別な場所なのだろうか。宗教の聖地とか?
「今から言うことはメルラー法第3条だ。よく聞いておけ。"この場所に無断で立ち入った者は身分問わず拷問にかけるように。ただし、そのものが無実であるならば最大限のもてなしをせよ"。」
拷問?僕は一体何をされたのだろうか。体は原稿そのもののようだ。不調なところなどない。
「拷問の内容は言わない方が良いだろう。まぁ強いて言うならば、散らばった肉を拾うのが大変だった、かな。」
笑顔で言うこのエルフが怖い。
まぁこのことは知らない方が良いのだろう。散らばった肉...まぁ、考えないようにしよう。
そういえばキノシタミミのことを言った途端にこのエルフの雰囲気が変わったんだよな...まるで何か衝撃を受けたように。
「キノシタミミか?...あぁ、悪い。お前の思考を読み取ったんだ。」
「あの、それもうやめてもらえませんか?なんか怖くて。」
「あぁ、すまんな。もう思考を読むのはやめにするよ。お前が無害だと分かったしな。それよりキノシタミミのことだ。拷問してる途中お前の頭を覗かせてもらったのだが、キノシタミミに関する記憶はその石版のものしかなかった。それはどういうことなんだ。」
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