第7話



 今日が、——最後になる。



 この1年間、色々あった。


 笑えたこと。


 楽しかったこと。



 そして、なにより——…



 彼との思い出は、茫漠と続く時の歯車の岸辺に揺蕩いながら、さやさやと過ぎ去る心地良い波音を立てていた。


 昨日までの出来事は、澄み渡る空の青さをいつの間にか追い越していた。


 街の下に伸びるビルの影と、午後。



 「私」が誰かを、彼に話すつもりはない。


 7月7日。


 ——その「夜」の向こうに、何が“続いている”かを打ち明けるつもりもない。


 私はただ、彼に伝えたかった。


 伝えなきゃいけないことがあった。


 「彼女」の願いを届けなくちゃいけなかった。


 それはきっと、「いつか」なんかじゃなくて…





 彼と再会できた日から、立ち止まるわけにはいかなかった。


 彼女と約束していた。


 星に願いを馳せた少女の夢を、置き去りにするわけにはいかなかった。


 少女は、暗闇の向こうに見える光を追いかけていた。


 「明日」を追いかけていた。


 空を見上げれば、無数の星々が、地平線の彼方に流れていた。



 果てのない旅を。


 終着点のない道を。



 月明かりが、雲の切れ間から差し込んでいた。


 涼しい風が吹いていた。


 満天の星空に向かって、まっすぐ手を伸ばさずにはいられなかった。


 彼との「約束」が、たとえ永遠に、今日にたどり着けなかったとしても。



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366日 平木明日香 @4963251

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