40
俺は今、最高に気分が高揚している。
誰も彼もが、俺の力にひれ伏していく。
もう、弱者じゃなくなったんだ!!
「ああ、御門さんに頼んで正解だったな」
風の噂で聞いた。
『御門修斗に頼めば誰でも強くなれる』
それを聞いた時、俺はこれしかないと考えた。
そうと決まれば、俺は一目散に駆け出していたんだ。
『お願いします。俺を強くしてください』
御門さんに出会った時に、俺はそう言った。
『強くなりたい?別にええけど…当たり前に代償はあるで?おも〜い代償がな…?』
それは嘘を言ってるようには見えなかった。
どんな代償か分からない。
それでも俺は、強くなりたい…!
そのためなら、悪魔にでも魂を売ってやる。
そう覚悟を決めて、言った。
『上等です…!!』
『そうか…やったら、ついてこい。あはは!楽しなるぞ…!』
そうしてついて行った先で、いろんな検査をされた。
身体の中を隅から隅まで見られた。
それから、一週間で薬が届いた。
『その薬は、倉瀬ちゃん専用のもんや。やから、他のやつに飲ましても意味はないで?あと、一日最大4錠までや。それ以上飲んだら、身体が耐えれんくて死ぬから気をつけや』
それだけ言って、御門さんは去って行った。
「これのおかげで俺は、強くなれてる」
やっと…やっと、強者になれた。
これで、もう何も出来ない俺じゃない。
何も出来ないまま失うのはもういやだ。
「次は…決勝か」
もうここまで来たのか。
長いようで短かったな…
ここを突破すれば…雲雀丘、お前にリベンジ出来る…!!
会場に出る直前に、俺は今日で4錠目となる薬を飲んだ。
「相手は、有栖川白亜か…」
有栖川か…
大物だな〜
そんな大物を俺は今から潰す。
アナウンスが流れ、入場を促される。
入場すると、すでに有栖川がいた。
「あなた、何か変なオーラを纏ってるわね」
俺を見るなり、そんなことを尋ねてくる。
なかなか鋭いようだ。
だが、バレるわけにはいかない。
「余計な話をするつもりはない」
「…そう」
そうして、お互い静かになった。
それから、決闘の笛が鳴り、幕が上がった。
「やっと、ここまで来た…」
俺は決闘の幕開けと同時に、全身の筋肉が高揚感と共に張り詰め、力が漲っているのを感じた。
この強さを手に入れたことで、すべてが変わる。雲雀丘へのリベンジ、その先にある勝利――それだけしか俺の頭の中にはない。
有栖川は静かに構え、冷静な眼差しで俺を観察している。
その美貌と異様なほどの静けさが、まるで嵐の前の静寂を思わせる。
だが、俺には関係ない。
前までなら恐れたかもしれないが、今の俺は違う。
この、圧倒的な力が俺にはある。
俺は、有栖川に向かって猛然と突進しながら、異能を発動させる。
耳鳴りのように高まる音が俺の鼓動と共に、周囲の空気が震え始めた。
「これが、俺の力だ…!!!」
手を振り下ろすと、拳と共に圧縮された音波が放たれ、有栖川の鏡に激突する。
「——!?」
衝撃音が轟き、鏡面がヒビを入れ粉々に砕け散った。
俺の異能は、薬によって進化した。
音の振動と衝撃が敵を貫き、すべてを破壊する。
「どうだ…?諦める気にはなったか?」
「まさか…雲雀丘くんに追いつくためには、こんなとこでつまずいてなんていられないもの…」
俺は有栖川の言葉に耳を疑った。
「雲雀丘だと…?」
「あら、知ってるの?」
「俺は…あいつを倒すためにここに立ってんだよ!!!」
怒りに任せて、再び俺は拳を振り上げ、音の波動を有栖川に向かって放つ。
だが、有栖川は鏡によって防ぐ。
「チッ…また鏡か!」
いくら割っても、キリがない。
「そんな程度で雲雀丘くんに勝つ気なの…?」
「何が言いたい…!」
「あら、分からない?こう言ったのよ。あなたじゃ雲雀丘くんの足元にも及ばないわ」
「なんだと…?」
俺の全身が、怒りで震えた。
ここまで強くなったというのに、有栖川はまだ俺を侮るのか?
俺は薬のおかげで、かつての弱さを克服したはずだ。
「そこまで言うんだったらいいよ。俺の全力を見せてやるよ…!!」
何を焦ってるんだ、俺は…
こんな弱者の戯言に耳を貸す必要なんてない。
俺は強者だ…!!
「
俺の声と共に、拳から放たれた振動波が一気に周囲の空気を共鳴させ、圧倒的な破壊力で有栖川に向かって襲いかかる。
振動の波動が地面を、会場を震わせる。
「っ……!?」
有栖川は負けじと鏡を展開するが……
「悪いな。お前の鏡は効かねぇんだ」
「……私の負けね」
そうして、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます