39
「それにしても…倉瀬、強くなりすぎじゃね?」
こんな遠くから見ても分かる。
あいつ、目に見えて禍々しいオーラ纏ってるぞ。
悪魔にでも魂売ったか?
「ははは!すごいやろ!!俺が魔改造してやったんや!!」
あんたが原因か!!
てか、魔改造と言うより……ドーピングじゃね??
「それは、合法なやつっすか??」
「お?完全に違法やな!!」
なるほどね……
「お〜い!!黒n——」
「ちょ〜と、黙ろうか…?」
その…
今の状況報告していい?
今、御門に壁まで追い詰められ、片方の手で俺の口を塞がれてもう片方の手で壁ドンされてる。
しかも、ほぼゼロ距離。
無理無理!!!!
「ん〜!!ん〜!!!!!」
「なんやなんや…お前がチクろうとするから悪いんや」
「ぷはっ!!だからって、そんなBL展開にする必要ないでしょ…!!」
誰得だよ…
俺は認めんぞ!!
男の娘以外とのBLは…!!!
「これが一番手っ取り早いんや。許してくれ」
「はぁ…まぁ、いいっすよ。それより、その違法なもんってなんすか…?」
「ん?ああ、それな。違法っちゅうのは冗談や」
なんだ、冗談か〜!!
よかったよかった!
「ただ、合法でもなけりゃ違法でもない。いわゆる、グレーなもんやな」
いや、グレーゾーンはアウトやん…
俺の安心を返してくれ…!
「ま、違法言われたらアウトやけどな。でも、なんも言われてへん内はセーフや」
「謎理論広げないでくれないっすか?」
「そこまで謎ちゃうやろ…」
閑話休題。
「その薬の効果ってなんすか?」
「まぁ、簡単に言えば覚醒剤やな。服用する数で、強さが変わる」
へ〜…
倉瀬、やっちゃったね…?
もう、手遅れなとこまで行っちゃったね…?
「一応、一日の限度は4錠までや。それ以上服用すると、身体に負担がかかりすぎて、最悪の場合死ぬ」
「えぇ…?普通にやばいもん渡してるじゃないっすか…」
死ぬの…?
まじ…??
「てか、そんなの別のやつの渡ったらやばないっすか?」
「ああ、それなら安心してくれ。あの薬は倉瀬ちゃん特注のもんや。他のやつが飲んだら、ただの風邪薬や」
んん????
無駄にすげぇことしてない????
「でも、あいつ…俺と戦うなら余裕で4錠以上は飲むっすよ?」
「やろうな」
「他人事っすね」
一応、あんたの薬なんですが?
ワンチャン死ぬんじゃないの?
「そりゃそうやろ。俺と倉瀬ちゃんは、ただの店員とお客さんや。注意は言っとる。でもな、どう使うかはあいつ次第や」
思ったより、無関心と言うか…
他人に興味がない感じか…?
「それに……あいつが代償を理解した上で決めたことを、がやがとやくか言うもんちゃう。それが例え、どんな道に行こうが、自分の人生や。一本筋通して生きた方がかっこええってもんやろ?」
俺は、その言葉に耳を傾けながら考えていた。
果たして、見殺しにしてもいいのか?
まだ、止めることができる段階だ。
だが、このままいけば確実にあいつは死ぬ。
もしかしたらなんて保険を言っていたが、ほぼほぼ死ぬのは確実だろう。
いや、俺にとったらそんな些細なことはどうだっていい。
「ま、だからって見殺しにする理由にはならんけどな。でも、世の中こんなもんや。誰の彼も自分可愛らしさに、見殺しにする。そりゃそうやろ。自分が死んだら元も子もないんやから」
御門はまるで、体験してきたかのような表情で語る。
実際、その通りだしな。
「やから、俺は手を出さん。もし助けたいなら勝手にせい。ただおすすめはせんけどな」
「えっと…なんか勘違いしてるみたいっすけど…別に、助けたいなんて思ってないっすよ?」
そうだ。
俺が心配してるのは、あくまで目的についてだ。
倉瀬が消えたとして、俺の目的には関係ない。
だが、今イレギュラーとして出てきた倉瀬を、このまま殺してしまっても良いのだろうか…?
ただ、それだけが心配だ。
「……そうか。やったら、しっかり見届けてあげや」
……ああ、そっか。
「はい。全力で行きますよ。殺す気でね…?」
もう、いっそのこと俺が殺してやろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます