32

「大丈夫…?」

「ああ、うん…大丈夫です」


 心配されちった。


「それより、桐島!!お前、一体全体どういうことだ!!!」

「んん……!」


 お前、何優雅に紅茶飲んでんの??


「どういうことって何かな…?」

「しらばっくれんじゃねぇぞ……ここに連れてきた理由だよ!!」


 すると桐島は口に手を当て、考えるポーズをとった。


 これだからイケメンは…

 そのポーズも様になってやがる。


「そうだね…特に理由はないんだよ」

「はい…?」


 理由もなく連れてきたの??


「強いて言うなら、柊先輩が寂しそうに見えたからかな…?」


 桐島がそう言うと、柊が肩を震わせた。


 なるほどね〜

 図星か。


 え?

 それに俺必要なの?


「別に……寂しくなんか…」

「そうですかね?では、なぜ見知らぬ後輩2人を招き入れたんですか?」

「それは……」


 桐島と柊が話している傍らで、俺は紅茶を啜っていた。


 この紅茶うまっ!!


「きっと誰かと話したかったんではないですか?柊先輩は1人でいいと思ってるかもしれません。でも、本当は——」

「あなたに何が分かるの……私の何が…」


 柊から放たれた言葉は、酷く冷たかった。

 感情のない声に初めて感情が現れた。


「分かります、なんて無責任なことは言いません。でも、孤独の辛さは知ってます」

「………」

「柊先輩の過去なんて分かりません。きっと、何かがあって心を閉ざしてしまったのでしょう」

「……て」


 柊が何かを言ったが聞き取れない。

 それでも、桐島は続ける。


「孤独でいいと思っていても、体は人を求めてるはずです。だって、あなたは僕たちと関わろうとしていますから。どうでもよかったら、僕たちを追い返していますよね?」

「もう…やめて…!」


 声に感情が現れた次は、表情に感情が現れた。


 うむ…まっずいな〜


「桐島、ちょっと席外すわ」

「分かったよ。蓮、気をつけてね」

「うるせ〜!お前に心配されたくねぇ!!」

「ほんとにつれないな〜」


 なんだ?

 このきもきも星人は…


 ま、いいや。


「さて、暴れようか…」


 食堂から出た俺は、向かってくる人形を見た。


 今、人形どもは凶暴化している。

 おそらく、柊の情緒がおかしくなったことによって人形のコントロールができてないのだろう。


「ガガガガガガガガガッッッッッッッ」


 カッコつけて出てきたはいいけど、この人形…壊していいのかな?

 ま、大丈夫か。


 しゃあない、しゃあない。

 必要な犠牲ということで……


「消えろ」

「ガガ……ガ…!!!!!!!!!」


 俺は人形の頭を拳で貫いた。

 地味にグロい。


「ほら、もっとこいよぉ!!!」


 久しぶりにガチで暴れられるんだ!

 楽しまなきゃ損でしょ!!


「グ…ギャアアアアアアアア!!!!!」

「へ…???」


 まてまてまてまて……

 なんだあいつ!?!?!?!?


 筋骨隆々の体長5mを超えるほどの巨体。

 さらに、顔面デモゴルゴン…


「きんもっ…!!!!」


 こいつ、人形!?!?

 これ絶対、人体実験の失敗作だろ!!


「グギャ?」


 化け物は俺を見ている。

 何見てんだよ!!


 俺を見ていいのは仲間になりたい奴だけだ!!!


 とりま、ぶっ壊すか。


死拳やばいパ〜ンチ


 化け物の腹に向かって突き出した拳は……


「はへ?????」


 思いっきし、空を殴った。


「いや、お前俊敏なの聞いてないって!!!」


 こいつ、えっぐいスピードで後ろに下がりやがった。


「グググ………グギャアアアアアアア!!!」

「おい!?まてまて!!早まるな!!!」


 あいつ、明らかに口からビーム出すよみたいな準備し出したんだけど?


「フハハハハ!!いいだろう!!受けてたとうじゃないか!!」


 テンションがバグってきた。


 元からだって?

 やかましいわ!!


「必殺…!人形大集合!!!」


 後ろに集まってきている人形どもにあのビームを当て、ビームを打った直後の一瞬の隙をついてあの化け物を倒す作戦。

 完璧すぎる…

 これぞ一石二鳥ってやつだ。


 そして、化け物は口を開き、ビームを放った。

 そのビームを間一髪で避け、人形たちにぶつけ……


「ガガガg——」


( ゚д゚)


 ビームをくらった人形どもは跡形もなく消え去った……


 いやいやいやいや……もうほぼ核兵器だろ。


「え〜と……とりま、死ね!」


 一瞬の隙をついて、思いっきし殴った。

 そして、化け物は肉片となり爆散した。


 いや、グロッ…!!

 これは流石に、R-18。


「とりあえず……殲滅完了!!!」


 一部建物が崩壊してるが、しゃあない。

 さて、戻りますか〜!!

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