27

「う〜ん……雲雀丘蓮か」


 僕、神崎海斗はちょっと離れた場所で二人のことを観戦していた。


「まさか、楓と肩を並べるなんてね…」


 ううん、肩を並べるどころか余裕すら感じる。

 こんな化け物が隠れていたなんてね。


「これは、十傲が束になっても勝てないかもね?楓」


 僕は、楓に話しかけた。


「そうだね。僕の分身だとしても、決して弱いわけじゃない。それ相手にあそこまで戦えるのは正直言って規格外だと言ってもいいね」


 楓は自分の実力に対して絶対的な自信がある。

 だから、ここまで素直に認めるのは正直びっくりだ。

 あの楓がね…


「でも、負けたくないね。立場なんて関係なく、ただ単純に」


 対抗心を燃やしている楓は、かつてのような少年の姿だった。


 久しぶりに見た。

 この純粋に、楽しんでいる楓を。

 僕の…僕たちが好きだった楓が戻ってきたようである。


 だからこそ……


「雲雀丘蓮。どうか、楓を……壊してくれ」


 ♦︎


「壊すか…いいぜ。その時が来たら徹底的にぶっ壊してやるよ」


 黒名の分身を倒した俺は、神崎の呟きに了承するのだった。


 それにしても、とんでもない依頼だなこりゃ…

 ま、分からなくはないがな。


 さて、今度こそ帰ろうか。

 今日は色々行動し過ぎた。

 その分収穫はあったけどね。


 ってことで、俺は寮に飛んで帰った。

 あ、ちゃんとflyの方ね。


「ん〜!!」


 部屋に着き、伸びをしてからベットにダイブ。

 そのまま睡魔に俺の体を預け……るわけねぇ!!!


 睡魔なんかに負けてたまるか!!

 俺は最強だぞ…!!


 ……うん、寝よう。

 疲れたわ。


 明日学校ダル……

 もう永眠してやろうか。

 それだと死んでるな。

 まぁ、いいや。


 そのまま俺は睡魔に敗北した。




 で、目が覚めたと思ったら何もない平原に立っていた。


「どこだここ?」


 よう分からんとこにいた。


「え?ん?ええ…??」


 数分待っても、説明無しですか。

 なるほどね。


「いいぜ。だったらぶっ壊してやるよ」


 こんな何もない空間だったら、遠慮する必要はないよなぁ?


終焉拳ファイナルパンチ!!」


 俺の立ってる真下の地面に放つと、地面がどんどん割れていき、全てを断割した。


「ちょっと〜!?何してるの??」

「………誰???????」


 いきなり現れたのは、腰程まである紫色の髪の美人さんだった。

 あと、でっっかい!!

 何がとは言わないけど。

 てか、なんか浮いてるんですけど?


「言いたいことはあるけどまずは自己紹介よね。私は夢見ゆめみのぞみだぞ⭐︎」

「………そ、そうっすか」


 俺と似た匂いを感じるのは気のせいか…?


「これでも、7位の実力者だよ?」

「へ〜、7位……7位!?!?!?」


 十傲やん!

 今日で3人目やぞ。

 エンカウント率バグってるだろ。


「ふっふっふ〜!ひれ伏すが良い!!」

「ワースゴイナー」

「む!もうちょっと反応してくれてもいいじゃない!」


 むしろ反応してあげただけ感謝して欲しいけどね?


「あの、一つ聞いていいっすか?」

「お!なんだい、少年?一つとは言わずにもっと質問してくれてもいいんだぞ?なんでも答えてあげよう」

「では、言いますね……」


 俺は、少し間を置いてから告げた…


「何カップですか?」


 と。

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