28

「ふぇ…?」


 俺の質問に、間の抜けた声を上げた。


「なんでも答えてくれるんっすよね?」

「え、いや、そう…だけど……え?」


 めちゃくちゃ困惑してらっしゃるけど、男として気になる。

 この状況の何よりも気になる。


「あなたが言わない限り進まないっすよ?」

「うぅ……Fです…」


 へ〜、ふ〜ん…いいね!


「な、何か言ってよ!!」


 顔を赤くして照れてる夢見を見て、俺は揶揄いたくなってきた。


「じゃあ、スリーサイズでも……」

「調子に…乗るな〜!!!!」


 くぅぅ〜…

 流石にスリーサイズはダメだったか…


「私じゃなくて、この状況についての質問はないの!?」

「え?その質問必要っすか?あなたの異能っすよね?」

「そう…だけど……」


 ちょっと考えれば分かることだ。

 むしろそれ以外に説明つかんし。


「ゴホンッ!改めて、私の異能は夢だよ!」

「ほ〜ん……で?」

「…………」


 夢見は、ジト目で俺のことを見てくる。


 なになに?

 もしかして、俺に惚れちゃった…?


「…………」


 もしかして、俺に………


「…………」

「すみません……」

「よろしい」


 あの空気に俺は耐えることができなかった。

 白亜とはまた違う怖さがあったぞ。


「え〜と……つまりここは夢の世界ということでいいっすか?」

「そうだね〜、眠ってる君の夢に侵入した形だね」

「えっ、不法侵入…?」


 裁判したら勝てるぞ!

 金だ、金だ!!


「夢に法なんてないからね?」


 確かに。


「それで、俺の夢に来た理由はなんでっすか?」

「ん〜?それは、楓があなたに興味を持ったらしいからね。だったら、一目見てやろうと思ってさ」


 黒名楓が…?

 もしかして、十傲に俺のこと共有されてるの?


「それで感想はどうっすか…?やっぱ、イケメンの俺に惚れ——」

「楓が興味を持つほどなのかなって思ったかな?」


 スルーですか…


「俺にかかれば、ちょっと話すだけで皆俺に惚れるんだよ⭐︎」

「…………」


 ごめんて。

 そんな目で見んといてや。


「ま、面白い人間なのは分かったかな?」


 確かに。

 俺は、賢い、面白い、強い、かっこいい、お金持ちともうモテる要素しかないからね!


 まずいな。

 これじゃ、ナルシストみたいじゃないか。

 事実を言ってるだけなのに…


「その…話は終わったんで、ご帰宅を願うんですけど……」

「え〜やだ〜!!」


 おい、帰れよ。


「いいんすか?帰らないと無事では済まないっすよ?」

「へ〜…十傲の私に喧嘩売るんだ…」


 正味、十傲に関しては確かに強いが敵ではない。


 唯一俺に対抗し得るのは、黒名だけだな。

 まだ全員会ったことはないが、自信をもって言える。


 言い方を悪くするなら、取るに足らん雑魚だ。


「全然喧嘩売りますよ。だって……」


 だから、俺が本気で殺気を放てば……


「あんたら全員……雑魚ですから」

「っ………!?」


 夢見は俺の殺気におそらく恐怖を感じただろう。


「はは……楓が興味を持つわけだ…」

「それで、お引き取り願えますか?」

「ええ…帰るわ。いきなり、ごめんね〜」


 そう言って、夢見は姿を消した。

 それとともに、この夢の世界も崩壊し出した。

 そもそも、俺が崩壊一歩手前まで壊してたけど…


 そろそろ、目覚めの時間だ。


 それにしても、休んだ気がしない。

 もう、サボろうかな?

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