26
一旦外に出た俺は、十傲について聞いて回った。
聞いて分かったんだけど……
みんな一般常識ですよ感を醸し出してくるの何?
逆になんで知ってるねん!
まじかこいつみたいな顔されるのは流石に解せない。
それでも、ちゃんと教えてくれたけど……
で十傲についてだけど、至ってシンプルだった。
十傲は、傲慢とも言えるほどの圧倒的な実力を持つ上位10人のことを言うらしい。
しかも、十傲はこの学校でも位が高いらしい。
教師より上だとか。
かっけ〜!
ま、俺からしたら全員雑魚なんだけどね!
でも、一回は全員と戦ってみたいよな〜
当分、お預けかな?
十傲については分かった。
あとは、成宮かな?
挫折を味わったあいつが取れる選択肢は、二つ。
そのまま同じように無謀な戦いをし続けるか、反省してコツコツ実力をつけるかだ。
後者の方が確実なのはそうだ。
だが、俺からしたら前者の方が断然成宮には合ってる。
これで折れるのならその程度、そんなやつに興味はない。
成宮、今後のお前に掛かってるぞ。
さて、下剋上も終わったし帰ろうか。
そう踵を返そうとした時…
「……!?」
闘技場の方でとてつもない力を感じた。
何事だ…?
とにかく様子を見に行こうか。
俺は、闘技場の方に向かって歩き出した。
行って大丈夫かな…?
中に戻れば戻るほど、力が強まっていく。
中が少し見える位置に俺は待機し、視力と聴覚を強化する。
見えたのは、10位の神崎海斗と生徒会長であり、1位の黒名楓。
「海斗、十傲がそう簡単に下剋上を受けるなよ。まだ、100位以内ならいい。だが、3000位の下剋上を受けるな」
「別にいいじゃん。減るもんじゃないし。それとも、僕が負けると思ってるの?」
「そう言うわけじゃない。十傲に挑んで負けたら、どんなペナルティを受けるか知ってるだろ?」
そういえば言ってたな。
負ければそれ相応の対価が必要だって。
一体どんなことになるのだろうか。
………おっと〜
「知ってるよ、流石に。負けたら——」
「ストップ。招かれざる客がいるみたいだ」
ばれちった。
完全に目と目が合ってしまった。
こんなにドキドキするなんて……
恋…?
なわけあるかぁ!!
「わざわざここに寄り付かせないためにわざと威嚇してたんだけどな…」
だったらこんなとこで話すなよ。
「
「うぉ…!?」
宙に浮いたと思ったら、黒名に引きつけられた。
「君が盗み聞きしてた後輩くんか」
「ちょ…!たまたま通りかかっただけっす!!」
「………」
黒名は俺を試すかのような視線を向けてきた。
「君……名前は?」
「え…?」
てっきり、会長権限でお前を退学にする!!
なんて言われるかと思ったのに、まさかの名前を聞いてくるとはびっくりだ。
「えっと…雲雀丘蓮っす…」
「雲雀丘蓮ね……」
めっちゃ見てくるやんこの会長。
「海斗、悪いけど話はまたあとで」
「ん、了解」
そういうと、神崎は水となって消えていった。
すごっ!?
何その移動方法。
俺もしたい!!
「さて、これなら君も本気出せるよね?」
「本気…?」
「ん?君、隠してるでしょ?見たら分かるよ」
今更になって来なきゃ良かったと後悔してる。
なんでだって…?
それは……
「ねぇ、戦おうよ。まさか一年に僕と並ぶ人がいるなんてね…?」
今、目の前にいる殺意剥き出しの会長と戦いたいと思ってしまったから。
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