15

「蓮、戦おうか」

「お前も戦闘狂か!?」


 平和主義者が誰一人としていない件。


「仕方ないよ。そういう試験なんだから」

「いや……うん…」


 そういえばそうだわ。

 だが!!

 俺は戦いたくない!


 わざと負けるか?

 いや、桐島に負けるのは絶対にいやだ。


「来い…光の剣ライトセーバー

「うわぁ…」


 やる気満々じゃん…


 残り時間はあと30分。

 逃げたところで、こいつの異能は光だ。

 絶対、追いつかれる。

 あそこにいる男の娘もそうだ。


 だったら、あと30分間相手し続けて、タイムリミットまで耐久だ。

 これしかない。


「分かったよ…やればいいんだろ?」


 俺は避けることに集中しよう。

 極力、反撃はしない。


「蓮、ここで君を超えるよ!」

「はは…!」


 思わず笑ってしまった。


「できたらいいな?二年後に」

「なんか意味深だなぁ」

「はははは」

「無感情笑いやめて?」


 うるさいやつだな〜


「僕、いつまで待機してたらいいの〜?」

「あ、ごめん。もういいぞ」


 めっちゃ忘れてた。

 でも、ちゃんと待っててくれたんだな。

 案外良識あるのか?


「閃光!!」

「うお!?ずるだろ!!」


 えぐいな。

 いきなり攻撃してきたぞこいつ…


「油断してる方が悪いんじゃない?そもそも、戦いにずるとかないし」

「うっざ…」


 正論ってよくないと思います!

 だって、古事記に書いてたもん!!


「咆哮!!」

「…!?」


 おお…これはなかなか頭に響くな…

 だが、効かん!!


「僕もま〜ぜ〜て〜!!」

「いいぞ〜お兄さんが遊んであげよう!」

「ほんと?だったら遊んでよ。僕と!!」

「絶対お前じゃないだろ!!」


 桐島、お前じゃない。

 あと、剣振り回すな。

 俺素手だぜ?

 卑怯だろ!!


「火焔光!」

「熱っ!?」


 流石にまずいか…?

 後ろに下がろうが、桐島は一瞬で距離を詰めてくる。

 逆に桐島に気を取られていると、あの男の娘が不意をついてくる。


 あと25分逃げ続けるには相性が悪い奴しかいない。


「ついてないな〜……」


 逃げても詰み、戦っても詰み。

 八方塞がりじゃないか!!


狼襲ウルフアサルト!」


 次は狼か。

 とは言っても、単純だな。

 ただ、襲いかかってくるだけだ。


「む〜!避けないでよ!!」

「避けんかったらシャレならんて…」


 無茶を言う。

 流石の俺でもダメージくらうよ?

 かすり傷程度だけど。


「反撃しないの〜?」


 しません。

 反撃してみろ。

 お前ら諸共消し炭です。


「しない。あと一つ言わせろ。俺ばっか狙わずに二人で戦えよ!!」


 よう考えたら、何この人たちは俺のことしか狙わないんだよ。

 いじめか??

 教育委員会に訴えるぞ!!


「僕の目的は蓮、君だよ?だから、君以外はどうだっていいんだ」

「うわぁ……お前、今日きもいことしか言わないじゃん」


 なんなんこいつ…?

 悪質なファンですか??


「僕は〜別に誰でもいいよ〜でも、お兄さんが一番強そうだし!!」


 なるほど、これが野生の本能ですか…

 恐ろしい…!!


「まぁ、いいや。あと20分だろ?頑張って〜」

「狙われてるのに呑気だね。まぁ、それが蓮らしいか…」


 俺のことなら分かってますよ風なこと言うな。

 こいつもしかして俺のこと…好き?


 いや、まじ無理。


「なんだろな…変な誤解されてる気がする」


 お、大正解!


 さて、もっと会話して時間稼ぎを……


「咆哮!」


 ま、そう上手くは行かないよな。

 ん〜…どうしようかな〜


 なんかマンネリ化してきた。

 ここでいっちょスパイスを…


「はい、バ〜ン!!」


 地面に向かって攻撃して、地面を割った。


 他の人たちと違って俺には技名なんてないからね。

 そもそも、何で技名があるんだ??


「派手なことするね」

「すご〜い!!割れてる〜!!!!」


 これでちょっとは俺に有利になったかな?

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