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 入学式は、よくある演説会場で行われる。


「広、でか!!」


 一年生、約1000人がいるので広いのは当たり前だが、それにしても広い。

 ドームぐらいあるんじゃね?

 ごめん、それは言い過ぎた。

 まぁ、それぐらいは広いってことだ。


「適当に席に座れ〜」


 とのことらしいので、一番後ろの真ん中らへんを陣取った。

 人間心理的に一番後ろに座りたがるのは仕方がない。


「隣失礼しても?」


 現れたのは、黒髪清楚な美人さんだった。


 にしても、あの目苦手だな〜

 俺の心を読まれているかのような感覚に陥る。


 だからって、ここで断るのもおかしいしここは了承しておこう。


「どうぞ」

「ありがとうございます」


 その後は特に会話もなく、入学式が始まった。


「只今より第77回、異能育成高等学校入学式を開会いたします。学校長、西城さいじょう香織かおり様よりご挨拶をいただきます」


 学校長か…

 一体どんな人物だろうか?


「どうも。改めて、学校長の西城香織だ」


 現れたのは、スーツを身に纏い厳格そうな女性だった。


「まずは入学おめでとう。だが、ここはゴールじゃない。むしろ、やっとスタートラインに立ったところだ。この学校は決して優しいものじゃない。気を抜けば、すぐ落ちていく。最悪、退学もありえるだろう。せいぜい、卒業まで頑張ってくれ。以上だ」

「ありがとうございました」


 西城が退場する際、一瞬俺と目が合った。

 その目は、俺に期待しているような目だった。


「続きまして、生徒会会長、黒名くろなかえで様よりご挨拶です」


 会長ってことは、この学校にいるどの生徒よりも位が高いんだろ?

 つまり、強いわけだ!!

 戦いたいね〜!!


 そして、登壇したのは黒髪の爽やかそうな見た目の好青年だ。

 弱くはなさそうだが、強くは見えない。


「初めまして。ご紹介に預かりました黒名楓といいます。僕はあまり堅苦しい話はしたくないので軽く話そうかなと」


 なんだろうな…

 どことなく、隣に座っている女に似てる気がするんだよな〜…


「うん、今年の一年生は優秀だね。潰しがいがあるよ…!」

「…!」


 …なるほどな。

 能ある鷹は爪を隠すとはこのことか。


「はは、冗談だよ。でも、僕にとって君たちは道端の石ころに過ぎない。だから、この学校生活で君たちがどのように成長するか楽しみだよ」


 そうして、退場する際こちらに目線を向けた。


 また俺か…?

 と思ったが、どっちかというと俺の隣を見ている気がする。


 自意識過剰だったみたい!

 てへ⭐︎


 その後は特に何事もなく入学式が終了した。

 そのまま流れ解散となり、せっかくということで島を見て回ろうと思った。


「どこ行こっかな〜ってコンビニあるじゃん!」


 学校をでて少し歩いたところにコンビニがあった。


「おお、便利なコンビニエンスじゃん(?)」

「何言ってるの?」

「うお!?」


 誰もいないと思って呟いたら、白亜がいたんだけど…


「なんでいんの?」

「たまたま通りかかっただけよ」

「そうっすか…」


 俺の謎発言を聞かれてしまった。

 一生の不覚!!


「それで、あなたは何をしているの?」

「え?俺は、とりあえずこの島を軽く見て回ろうと思って」

「ふ〜ん…」


 な、なんだよ…?

 まさか…!!


「ストーカーするつもりか!?」

「本当に何を言っているの…?」


 呆れられてしまった。


「白亜、一つだけ言っておこう。俺の言うこと全てに意味があると思うな!!」

「そんなに自慢げに言うことじゃないわよ…」


 さらに呆れらてしまった。

 別に俺悪くないよねぇ〜??


「とにかく、騒ぎは起こさないでね?」

「起こさないって!」

「どの口が言ってるのよ、まったく…」


 安心しろって。

 どんなことが起ころうと、首を突っ込むつもりは一切ない。


「それじゃあ、私は行くわ」

「おう!じゃあな〜!!」


 白亜が寮に帰ったのを確認し、俺も見回りを再開した。



 それから数時間探索したが、あったのは大型ショッピングモールやら訓練所とかしか無かった。

 島が広い割に、俺らのできる行動範囲が狭い。


 まぁ、広かったら広かったで移動がめんどくさいしこんなもんか。

 特に収穫もなかったし、帰ろうとした時に…


「おい、お前新入生か?」


 おそらく上級生ぽい人に絡まれた。


「…?はい、そうっすけど…」


 ガラ悪いな。

 一体なんの用だ?


「だったらよぉ、金よこせや」


 なるほど、カツアゲね…


「普通にいやっすけど」

「あぁ?口答えすんのかぁ…?」


 めんどくせぇ〜…

 とはいえ、ここでボコすのは本意じゃないんだよなぁ…


 はぁ…仕方ない。


「どれくらい渡せばいいんですか?」

「はっ!四万だ」


 一万でこの月を過ごせと…?

 いや待て、使えるな。


「いいっすよ!!どうぞどうぞ!!」

「お、おう…」


 バンドからこのクソ雑魚ヤンキー先輩に金を渡すと、満足げに帰って行った。


「ふふふ…」


 なぜ四万も渡したのかと言うと…

 そう、カモフラージュ作戦だ。


 ははは!勝ったな!

 風呂入ってくる!!




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