9
入学式の前にクラス分けが行われる。
張り出された紙を見て、自分のクラスを確認し、教室に向かう。
一年D組、俺のクラスだ。
教室に入ると、まだ俺が早いようで、人は少ない。
皆机に座って静かにしている。
これが俗に言う、入学当初の雰囲気か…
とりあえず、俺の席に座る。
俺の席は一番後ろの窓側。
いわゆる、主人公席だ。
「ん?」
ある一人の男が入ってきた。
「テメェと同じクラスかよ…」
口調からもわかる通り、そう鮫島である。
「明らかに残念そうな顔するのやめて?」
俺、傷ついちゃうよ?
「お前と馴れ合うつもりはねぇ」
「そんなつれないこと言うなって〜!同じクラスなんだし、仲良くしようぜ!」
そう言って、俺は肩を組む。
「舐めてんのか…?俺はこの学校へ遊びに来たわけじゃねぇんだよ!仲良しごっこでもしたけりゃ、失せろ…!」
「…はは!」
ああ、最高だ。
鮫島は俺の計画には使うつもりはなかったが、予定変更だ。
「何がおかしい?」
「いや?なんでもない。安心しろ、お前とは関わらないさ。お前から来ない限りはな」
「気にいらねぇ…」
そう言って、鮫島は自分の席に戻っていった。
にしても、ちょっと目立ってしまった。
ただでさえ、静かな空間なのになかなか大きな声で話してしまった。
まぁ、まだ挽回できる範疇だ。
それから、数分後。
クラスの生徒は皆席についた。
「はぁ〜…お前ら席につ…ってもうついてるか」
見知った男が入ってきた。
よりによって担任があんたかよ。
「めんどくせぇことにお前らの担任になった。竜胆新だ。担当は実技全般だ」
いかにもやる気のなさそうな声、顔をしている。
鮫島に目を向けると、嬉しそうな焦っているような様子だ。
もう一度、竜胆に視線を戻すと、目があった。
そしてすぐ、目をそらされた。
何だったんだ?
「今からお前たちにスマートバンドを配る」
そして、配られたスマートバンドは普通のものとは別のようだ。
「そのバンドは学生証含め、この学校に暮らす上で欠かせないモノだ。無くすなよ?」
なるほどね?
…ん?
----/3096
何だこの数字?
「もう気づいた奴もいるかも知れねぇが、3096と書かれた数字はこの学校にいる生徒の数だ。んで、その隣のバーだが、明日やる試験でお前らの実力を見させてもらう。その結果で、この学校での順位を決める」
これが、実力主義と言われる所以か…
面白そうだな…!
「この学校は順位が全てだ。順位が高ければ高い方が待遇がよくなる」
つまり、高い順位を取れということか。
さて、どうしようか…
俺はできれば中間らへんを取りたいところだな。
「そんで、順位を手っ取り早く上げる方法がある。それが下剋上だ。」
下剋上、簡単にいえば順位を上げるための決闘だと思う。
「名前の通り、自分の順位より高い者に行使することができる。だが、自分より下の者には無効だ。特に下剋上の回数制限はないが、無闇にするのはやめておけ。負けたらそれ相応の対価を差し出す必要がある」
対価か〜…
正味、勝ち続ければいいんだろ?
簡単じゃん!
「下剋上は複数種類がある。お前らは異能が三つの型に別れてるのは知ってるだろ?その型によって内容が違う。まぁ、やってからの楽しみだな」
やっぱ、そうだよな。
サポート型と攻撃型での場合単純な戦闘力じゃ、サポート型は手も足も出ない。
下剋上か…
なかなか面白そうだな…!
「説明は以上だ。ああ、あとこの島でのみ使える電子マネーが月にそのバンドに支給される。初回はお前ら全員五万入ってる。ちなみに、次から支給される値段は順位によって変わるから、まぁ、頑張れ」
さらっと重要なことを言われた。
金か…
やっぱ、順位大切だな。
「さて、入学式だ。移動するぞ。ついてこい」
ああ、入学式か…
絶対、おもんない。
もうね…お偉いさんの長い中身のない話を淡々と聞かされる拷問の時間だよね。
「くぅぅぅ……」
「なに鳴いてんだよ?」
俺が絶望していると、鮫島が話しかけてきた。
「この世の不条理さに嘆いてるんだよ。てか、馴れ合わないんじゃなかったのかよ??」
「テメェが変なことしてるからだろ…」
え?
俺、変だったの…?
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