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「あ〜……お前ら、クソめんどくせぇことすんな…」
「…!?」
「…はっ!?」
そう言って、一人の男が現れた。
あと二人も驚いていますけど、この人知ってるの?
「ただの喧嘩なら見逃したんだが…雲雀丘、お前が混ざるのはダメだ」
「………」
俺の名前をご存知で…
それに俺の実力を知っているかのような言い方だ。
それにしても、読めない。
この男が何を考え、何をしようとしているのか全く見えない。
だが、一つ分かることはこの男は尋常じゃない程強い。
戦うとするなら流石の俺も、もう一つの異能を使わざるを得ない。
それでも、俺の方が強いがな!!
「もうすぐ島に着く。静かにしてろ」
「な、なぜあなたがここに…?」
「あ…?」
倉瀬が遠慮気味に尋ねる。
あの倉瀬が、下手に出ているだと…!?
え…?
この人、もしかしなくとも大物…?
「見りゃ分かるだろ。教師だ」
「「「え、えぇぇぇ!?!?!?!?」」」
鮫島と倉瀬だけじゃなく、ギャラリーも皆、一斉に声を上げる。
うるせぇ…
俺はこの人が誰か知らないので、尋ねることにした。
「えっと…誰っすか…?」
「は!?お前知らねぇのかよ!?」
鮫島がオーバーリアクション気味に言ってきた。
「いや、知らんて」
「この人は
世界…最強…?
それは流石に大袈裟だろって思ったが、さっき感じ取ったオーラを考えればあながち間違いじゃないかも…
「えぇぇ!?!?!?」
めちゃくちゃ大物じゃないですか!?
「そんな大層な称号はやめろ。俺は世界最強じゃねぇよ」
謙遜…してるわけじゃなさそうだ。
「何を言ってるんすか!竜胆さん以上に強いやつなんているわけ——」
「いるぞ」
「え?」
竜胆はそう言って俺を見た。
「目の前にいるじゃねぇか。本当の世界最強がな」
周りが一斉に俺を見た。
「え?何??」
「こ、こいつが…本当の世界最強…?」
鮫島が俺を見て信じられないと言った顔で見てくる。
疑問に思うな。
周知の事実だろ。
「こいつと戦ったが、竜胆さんには到底及ばなかった」
お前は手加減っていう言葉を知らないのかと言おうとしたら、竜胆に先を越された。
「そりゃそうだろ。手抜いてたんだからな」
見破られてますね。
一体どこで俺の実力を知ったのやら…
倉瀬はその言葉に反応したのか、俺に突っかかってきた。
「手を抜くだと…?だったら、本気でかかってきなよ。俺を弱いって言ったんだ、さぞお強いんだろ?」
倉瀬が挑発じみたことを言ってきた。
受けてもいいんだけどな〜…
本気って言われても、結局もう一つの異能は使えないわけだから、本気ではないし。
受けたとしても、メリットないし。
「パス」
「へ〜…逃げるんだ?」
「はい!逃げます!!」
「……」
そんな目で見るなよ。
逃げて悪いか??
「血気盛んなガキどもだなぁ…」
遠い目をしている竜胆。
この人、別に子供好きじゃないだろ。
なんで教師になったんだ?
「戦いてぇなら島でやれ、ほら帰った帰った」
そうして、解散ムードになった。
竜胆にそう言われたら従うしかないのか、鮫島は俺に見向きもせずどっかに行った。
倉瀬は俺を睨んでからどっかに行った。
倉瀬に嫌われたな〜と思いながら、俺もどっかに行こうとした時に…
「雲雀丘」
「んぁ?」
周りに誰も居なくなってから、不意に声をかけられた。
「お前はどこか我慢してるだろ?だから、助言しといてやる。めんどくせぇことに、力を持つ奴にはそれなりの責任が伴う。特に俺やお前はな」
「責任すか…?」
「ああ、責任だ。例えば、強い者は弱い者を守れだとか、社会のために役に立てだとかな」
ああ、そんなことか。
よく言われたな…
あなたは持つべきものを持ったのだから、皆んなを守りなさいってな。
「だがな、気にすんな。弱いやつを守れだとか社会の役に立てなんか言う声は無視しろ。お前がやりたいことをしたらいい」
「やりたいこと…」
やりたいことか…
確かにある。
だが、どこかで遠慮してた。
もし、実行してしまえば……
——世界が変わる。
いや、終わる。
「俺は止めねぇ。てか、やれ。お前がどんなことをするかは知らんが、世界にどんな影響を及ぼすか楽しみにしてる。手段は選ぶな、この学園を、この俺を踏み台にしてみろ」
俺はこの気持ちを勝手にセーブしていた。
やってはいけないことだと思い、閉じ込めていた。
だが、竜胆に背中を押されたおかげでこの気持ちをこじ開けてしまった。
「はは…!」
あんたがどう考えてるか知らないけど、この気持ちを解き放ったんだ。
責任とってもらおうか!
「その顔は決まったな」
「ああ、俺はこの世界の悪役になってやるよ…!」
こうして、俺の…いや、俺たちの最後の三年間が始まる。
「なあ白亜、俺の傀儡にはなってくれるなよ?」
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