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「それで、情報なんだけれど…」

「情報…?ああ!そういえばそんなのあったな!」


 色々あったから、忘れかけていた。


「………」

「睨むなよ」


 忘れてたのは悪いが、仕方ないだろ。


「この船で喧嘩が起きているわ」

「喧嘩…?野蛮なやつ多いな」

「異能を持っている人は大体野蛮でしょ?あなた含めてね」

「俺、野蛮なの…?」


 俺って、野蛮だったんだ…

 まぁ、戦うのは好きだけど。


 そんな時、船が揺れた。


「うおっ!」

「きゃっ!!」


 聞いた?

 きゃっ!!だって!!


「今、馬鹿にしたでしょ…?」

「な、何をおっしゃっていますのですますか?」

「動揺しすぎよ…」


 おっと、俺としたことが。

 そんなことより…


「この揺れって、お前が言った喧嘩と関係ある?」

「ええ、おそらくね」

「へ〜…仕方ない。見に行ってあげますか」


 面白そうだしな。


 ♦︎


 白亜を置いて一目散に震源地に行くと、人集りができていた。


 その人混みの中に、見知った金髪頭の胡散臭いガキを見つけた。

 ちょうどいいので、桐島に声をかける。


「よぉ!!これどういう状況?」

「ん?ああ、蓮か。僕も細かい詳細は知らないけど、大まかに言うと喧嘩だね」


 知ってる。

 それは、知ってる。


 でも、白亜の言う通り喧嘩なのは確かなようだ。

 俺も混ざろうかな?


「混ざりたそうな顔してるね」

「は?なんで分かるんだよ…きっしょ!!」

「そこまで言う????」


 俺、お前嫌いだし。


「で、誰が喧嘩してんの?」

「え?あ、うん。えっとね…」


 こいつの話をまとめるとこうだ。


 音の異能力者、倉瀬くらせ碧音あおとと、牙の異能力者、鮫島さめじま隆輝りゅうきが決闘という名の喧嘩をおこなっているらしい。


「へ〜、やっぱ混ざるか!」


 どういう経緯で喧嘩してるのか知らんけど、あの二人なかなか強そうだし。


「桐島!あと頼んだ!!」

「はいはい」


 人混みを抜けて、あの二人の声が聞こえる位置まできた。


「テメェ、調子乗ってんじゃねぇぞ!!!」

「調子乗ってるつもりは無いんだけどな〜」


 鮫島が、倉瀬を詰めていた。


「はっ!!だったら、俺に向かって頭下げろや!!」

「ははは!面白いことをいうな〜、自分より下のやつにどうして頭を下げる必要があるのかな?」

「テメェ…!!」


 鮫島が殴り掛かろうとした瞬間…


「はい、ストップ!!」

「あぁ?」

「……!」


 俺は二人の間に入った。


「喧嘩するならさ、俺も混ぜてよ!!」

「邪魔すんじゃねぇ!!ぶっ潰すぞ!!」


 そう言って、鮫島は自分の手を牙に変えて俺を襲ってきた。


 それに対し俺は、自身に硬化の身体強化をかけた。


「っ……!?」

「どうした、甘噛みか?」


 俺の腕に食いついた牙は、傷どころかダメージすら与えていない。


「テメェ…何者だ!!」

「何者って、俺は雲雀丘蓮」


 俺が名乗った瞬間……


音爆インパクト

「お!?」


 その爆破を俺たちはもろにくらった。


「何だ、この程度か。期待して損した」

「鼓膜ないなったかも……」


 あの爆破で、耳がキーンとしている。

 流石に鼓膜までは硬化していない。


音爆インパクトをまともにくらって無傷…?」

「え?ああ、あのただただうるさいだけの爆破?あんなのにダメージくらうはずがないでしょ」

「……」


 あれ、黙ってしまった。

 怒っちゃったかな?


「それに期待外れなのはこっちだ。もっと強いと思ってたんだけど、二人とも弱かったわ」

「ふざけんな……」


 おっと、まずい。

 ガチギレじゃん!


「俺が弱い…?そんなわけないだろ…!だったら、本気でお前をぶっ殺す!!」

「さっきまでのキャラどこいった…?」


 キャラぶれっぶれだね〜


「にしても、今日まさか二回も言うと思わなかったけど、殺すってのはさ〜自分より弱いやつに使わないと。だって、殺され返されたら文句言えないだろ?」

「黙れ!!」

「あと、後ろには気をつけろよ?」

「何っ…!?」


 戦いにおいて、冷静さを欠くのは致命的だ。

 常に周りを見ておかないと、足をすぐすくわれる。


 そのちょうどいい見本がこの倉瀬だ。


「鮫牙!!」

「くっ……!!」


 鮫島の攻撃で後ろに飛ばされた倉瀬。


「一対二か…!!」

「違う…乱闘だ!!」

「テメェらまとめてぶっ潰すっ!!」


 すぐ終わらすのは簡単だ。

 だが、それじゃあ面白くない。


「お前らのレベルに合わせてやる」

「舐めてんじゃねぇっ!!」

「弱いって発言撤回させるよ!」


 そうして、本当の戦いが始まる……かと思われた。


「あ〜……お前ら、クソめんどくせぇことすんな…」


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