一年生編

序列試験

5

 俺は能育行きの船に乗って異能島に向かっていた。

 この船には俺と同じく新入生が多数乗っている。

 ざっと、千人くらいは乗ってるかな?

 そんな人数が乗っていても、窮屈に感じないほどのでかい船に乗っているわけだ。


 そして、俺は今船首の方にいる。


「よお、白亜」

「どうしてここにいるのかしら?」


 白いワンピースを着た見た目は美少女の白亜がきた。


「ここが一番風が気持ちいいからな」

「そう。それで、ここに呼んだ理由は何なの?」

「簡単だ。情報共有をしようと思ってな」


 さっきも言ったが、ここには多分全新入生が乗っているはずだ。

 つまり、ここは情報の玉手箱ってことだ。


「なるほどね。なら、一つあるわ」

「お!何だね?ワトソンくん」

「言わなくてもいいのだけれど?」

「白亜様!!どうか私にご啓示を〜!!」


 こんなことをしていると、人が二人…いや三人やってきた。


「おい、すげ〜美女がいるじゃねぇか!!」

「ガチじゃん!!」

「あんな美女見たことねぇ!」


 セリフ順に紹介しよう。

 一番最初に言葉を発した男は、ガタイが良くて、この三人の中じゃ確実に一番強い。

 あと、雑魚×2


 それにしても、美女ね〜……

 ちゃんと、忠告しておかなければ!


「そこの人たち!騙されてはダメだ!!こいつは美少女の皮を被った悪——!?」


 ちょっと!?

 鏡に閉じ込められたんだけど??


「そこまで言うなら仕方がないわ。あなたを万華鏡にしてあげるわ」


 まっずい!!


 仕方ない。

 無理やり中から鏡を壊し、飛び出た瞬間……


「すみませんした〜!!!!」


 華麗なジャンピング土下座を披露した。


「何事もない様に、中から鏡を壊さないで…そもそも、普通は壊せないはずなのだけど…?」


 そんなことを気にしてはいけません!

 この鏡が脆いのが悪いんだ!!


「ふぅ〜……あれ?まだいたんだ?」


 雑魚三人衆に向かって言った。


 その発言で怒ったのか、異能を発動させた。


「短気にも程があるだろ!!」


 身体中に雷のようなものを纏う。


「この俺様を舐めるなぁぁぁぁああああ!!!!!」

「え??舐めてる要素あった????」


 最近、キレ芸流行ってるのかな…?


「お前ら!!あいつ、ぶっ殺してくるわ!!!」

「へへっ!やっちまえ!!」

「あんな雑魚、殺しちまえ!!!」


 殺す…ね。


「あまり、やりすぎちゃダメよ?」

「分かってるよ。悪役ぶってるあいつらにお灸を据えてあげるだけだ」


 あいつの異能は雷か?

 それはまた王道な異能がきたな。


「ま、俺が異能を使うまでもないかな…!」

「おらっ!!!」


 俺になんの捻りもない雷によって強化された拳を叩き込んできた。

 それを、腕で防ぐ。


 さすが雷。

 スピードも威力もなかなかだ。


 だが…


「まだ青いなぁ…」

「あぁ…!?」


 こいつがもう一度繰り出した攻撃を受け止め、後ろに流し腹に一発入れる。


「がはっ!!!」

「殺すなんて簡単に言っちゃダメだよ?殺すって言葉は自分より弱いやつに使わなくちゃ……って、聞こえてないか…」


 白目を向いて倒れる男を見て気づいてしまった。


「やりすぎた??」

「ええ、残念なことにね」


 やっば…!!

 入学初日にやらかすのはまずい。


 …そうだ!!


「おい!そこの二人!!」

「なんだよ!!!!」


 うるさい…

 そんな叫ばなくていいじゃん…


 ま、ボスがやられたら焦るか。

 そんなことより…


「お前らのせいにしてくれね?」

「はぁ!?!?」

「するわけねぇだろ!!!」


 だよね〜

 そう言うと思ってましたよ。


 だから…


「おいおい、お前らのボスを倒した俺にそんなこと言っていいのかな…?」


 ちょっと脅してやれば一発だろ。


「その気になれば…お前ら、ぶっ殺すぞ…?」

「ひっ……!!」

「わ、分かりましたっ!!!」


 よし!

 任務完了!!


「まるで悪魔ね?」

「悪魔何て物騒だな。悪役だって言ってくれよ」

「変わらないわよ…」


 変わるだろ!!


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