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 異能取締り機関、略してECO。

 俺たちが在籍している組織である。


「相変わらずでかいな〜このビル」

「そうかしら?普通じゃない?」


 お前の基準で測るな。


「雲雀丘様、有栖川様、お待ちしておりました」

「うおっ!?正義さんか」


 本部長の秘書をしている蔵元くらもと正義まさよしさんが出迎えてくれた。

 相変わらずどこから現れたのか分からない。


「有紗様がお待ちです。ご案内いたします」

「は〜い」


 て事でついて行く。


 向かいながら話そう。


 まずECOについて。

 ECOは警察が対処できない異能関係の取締りをする組織である。


 そのため、在籍するすべての人間は異能力者である。


 ECOには階級というものがある。

 下から、五級、四級、三級、二級、一級である。

 階級においての基準みたいなのは、然程重要でもないし割愛する。


 ちなみに、ECOに一級は四人しかいない。

 一級はもれなく化け物しかいない。

 比喩じゃなくて、本当の化け物だ。

 ちなみに俺は一級だよ⭐︎


 相方の白亜は四級だ。

 まだまだだね。


 ECOでは二人一組で仕事をする。

 相手は異能力者だからね。

 何が起こるかわからないからだとか。

 俺は一人で良かったんだけどね。


 おっと、部屋の前に着いたようだ。


 正義さんがドアを三回ノックする。

 すると、中からどうぞと無駄に明るい声が聞こえてきた。


「邪魔すんでぇ」

「邪魔すんやったら帰って〜」

「はいよ〜」


 と定番のノリをしたとこで…


「なんの用だ今日は」


 本部長こと、田沼たぬま有紗ありさに問う。


「いきなり切り替えるわね」


 うるさいよ、そこ。


「二人とももうすぐ中学卒業じゃない?」


 そうです。

 実は俺たちまだぴちぴちの中学生なんです。


「だから、異能育成高等学校に入学してもらおうと思って」


 ………ん?


 横をチラッと見てみると、白亜も同じく疑問符を浮かべていた。


「えっと……それだと、ECOの仕事を出来なくないですか?」

「そうだ、そうだ!」


 異能育成高等学校、略して能育。

 異能力者なら必ず一度は耳にするだろう。


 完全実力主義の学校。

 弱いものはどんどん切り捨てられて行く鬼畜学校などなど。


 これを聞いただけで、行きたくなくなってしまう。


「別に大丈夫よ。たった三年間だけ。そもそも、まだ中学生よ?仕事をするのはまだ早いのよ」


 確かにそうだけどさ……

 この学校に入ってしまったらもうおしまいだ。


 能育は日本から少し離れた島にある。

 その島を異能島と言う。


 そこで、三年間過ごすことになる。


 つまりだ。

 島の外に簡単に出ることが出来ないわけである。


 えぐいでしょ。


「あ、もう入学手続き終わってるから。なにを言っても無駄よ」

「なぁ、俺逃げていい?」

「ダメに決まってるでしょ」


 何勝手なことしてくれてるのかな?

 この人は。


「うぅ……」

「私だって泣きたいのだけど」

「え!どうぞどうぞ!!!!」


 白亜の泣き顔ははぐれメタルよりレアだぞ!


「脳天ぶち抜くわよ?」

「あ…すんません」


 調子乗りすぎた。

 めんごめんご!


「そんなに元気なら行って大丈夫ね」


 ハッ!?嵌められた!?

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