48.討伐のやり方
外の冒険は三日行ったら一日は集落の手伝いと訓練だ。パン屋で働いていた時と同じサイクルで討伐する予定。とりあえず一か月はFランクの魔物を相手にしようと思う。
もしかしたらEランクの魔物を討伐できるかもしれないけど、戦闘の経験が少ないから不安だ。自分より弱い相手をするなら訓練にはならないかもしれないが、手ごたえというものが欲しくなった。
一週間同じやり方で討伐をしてみたが、なんだかしっくりと来なかった。スライムはすぐ倒せるし、スネークは剣で触れさせることで十分だし、ホーンラビットだけが訓練の相手になっているみたい。
それに討伐金も7000ルタから8000ルタぐらいで収まってしまっている。もっと行けるとは思うのだが、遭遇率が上がらない事にはどうしようもならない。
なら遭遇率を上げればどうだろうか? そう考えたのだが、簡単に案は思い浮かばない。
図書室に行って魔物のことを調べてみたが、すでに見知ったことしか書かれていなかったので新しい情報はなかった。
いっそのこと走り回ってみたらどうだろう、と一日走り回って魔物の捜索をした。走りながら敵を見つけることが結構難しくて、思った以上の成果は得られなかった。遭遇率は少しだけ上がっただけ。
このやり方はダメだった。体は鍛えられるのはいいが、目的の遭遇率は少ししか上がらない。討伐料が低い分、数で補おうとしていたんだけど無謀だったのかな。
いっそ討伐料は諦めて、ひたすら実戦の経験をつむだけにしたほうがいいのかもしれない。でも、どうせ稼ぐなら少しでもお金が高い方がいいし。
そんな感じで悶々とする日々を送っていた。
今日も森の入口付近で魔物を探す。一度森の中でやったことはあったが、見通しの悪さで思ったよりも魔物を狩れなかった。まだ見通しの利く、森の入口付近のほうが遭遇率は高い。
辺りを見渡していると、木の影から緑のスライムが出てきた。小走りに近づいて、剣を振り下ろす。一撃で核を壊すことができると、液状の体は地面に溶けて広がった。
壊れた核を拾うと腰ベルトに括りつけていた素材入れ袋に入れる。それからまた周囲を見渡して歩き始めた。辺りをウロウロと歩き回り、魔物がいないか確認する。
「ん?」
木の向こう側に隠れてスライムの体が見えた。確認するために木を避けて進むと、同じ場所にスライムが3体もいたのをみつける。
「こんなの初めて。何しているんだろう」
スライムはお互いを押し合い、うごうごと体を揺らしていた。何かに夢中になっているようだが、こちらからは何も見えない。剣を握り直すと駆け足でスライムに向かっていく。
すぐ傍までやってくると、剣先を下にして核目がけて落とす。見事三回連続で命中するとスライムは液状になって溶けて広がった。
一度剣を鞘に納めてスライムの中心を見てみる。すると、そこには頭のないスネークの体があった。体は無残に裂けていて、売れないと思った冒険者が捨てていったものだろう。
よくよく見てみると表面が少し溶けかかっている。
「もしかして、スライムが食べていた?」
本で読んだ内容を思い出す。スライムは獲物を獲ると、体内に入れて溶かしながら食べる。確かそんな感じで書いていたはずだ。だからスネークが溶けていたのはスライムが食べていたから。
だったらスネークの体を求めてスライムが集まってきた、ということなのかな。
「あっ」
そうだ、スネークの体が餌の役割になっていて引き寄せられたんだ。だから三体ものスライムが同じ場所にいた。
このやり方を真似すれば、魔物を集められるんじゃないかな。そうしたら、探すよりも高確率で魔物と遭遇するかもしれない。
丁度スネークが2体あるから二か所に設置して魔物が集まったところを討伐してみよう。そうと決まれば、どこに設置するのがいいだろうか?
森の入口付近と森の中、二か所に設置しよう。スネークはまず頭を切り落として、頭は討伐証明だから素材入れ袋にいれておく。血の匂いでおびき寄せられるかもしれないから、ナイフで体を裂いてみる。
細い枝を木から切り落として、それを地面に刺す。分れた枝の上にスネークの体をぶら下げれば完成だ。地面よりも高い位置にあるから血の匂いが漂ってくれると思う。
もう一か所設置したら、待っている時間でお昼ご飯を食べよう。
◇
見晴らしのいい草原でシートを広げてその上でお昼ご飯を食べた。ブーツを脱いで、足を伸ばして食べるご飯はとても美味しかった。心地よすぎてこういう場所で食べるのが癖になってしまっている。
「さてと、魔物の餌作戦はどうなってるかな」
ブーツを履いて、シートを片づけて、森を見る。十分に待ったから、作戦が成功していれば魔物が集まっているはずだ。
剣を抜いていつでも倒せる用意をすると、まずは森の入り口付近に設置した場所へと向かう。ちょっとドキドキしてきちゃった、成功しているといいな。
サクサクと草をかき分けて進んでいくと、魔物の餌を設置した場所が見えた。そこには遠目からでも魔物が集まっている光景が分かる、どうやら作戦は成功したようだ。
目を凝らしてよく見てみると、スライムとホーンラビットの姿は確認できた。ただ単に見えないだけでもしかしたらスネークもいるかもしれない。これは大収穫だ。
駆け足で近寄っていく。はっきりと魔物の数が捕捉できた、スライムが2体、ホーンラビットが1体、スネークが2体だ。
まずはじめに動き回るホーンラビットから討伐することにする。草をかき分ける足音に気づいたのか、ホーンラビットがこちらを向き威嚇してきた。
すぐにホーンラビットが駆け出し、突進してくる。私は立ち止まり避ける準備をした。至近距離まで来たホーンラビットは地面を蹴って飛び出すが、簡単に避けられて地面に転がる。
そこをすかさず剣で襲い掛かった。首元目がけて剣を振ると、短い悲鳴と血が飛んでホーンラビットは痙攣をして動かなくなる。
これで邪魔者が消えた。残りの魔物を討伐するべく駆け足で近寄り、真っ先にスライムに剣先を二度落として核を破壊する。
スライムが液状化したのを見届けると、今度は雷の魔法を発動させて刀身に雷を纏わせる。剣先をスネークの前に突き出すと、スネークは牙をむき出しにして剣に噛みついてきた。
バチンッと雷が弾ける音がすると、スネークは仰向けに倒れて動かなくなる。もう一体の方も剣先をチラつかせて、噛ませて討伐した。
「これ、いい感じじゃない。やった」
思わず嬉しくなってこぶしを握った。このやり方だったら一々探す手間も省けるし、普通に探しただけじゃ見つからない数の魔物と遭遇できる。
このやり方で討伐しようと思った。これだったら討伐数も稼げるし、ランクアップの足しにはなるはずだ。しかも、一度に複数相手にするので訓練にもなる。
「よし、次に行こう!」
討伐したものをマジックバッグにしまうと駆け足で別の設置場所に急いだ。
その先にはスライム2体、スネーク1体、ホーンラビット3体が待ち構えていた。この作戦は大当たりだ。
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