短文実験室

2 ダンス

　カナは、踵をとんとんと踏み鳴らした。その動きが次第に、少しずつ激しくなっていく。手を振り上げ、首を回し、はっと足を踏み出す。音楽がぎゅうっと軋むような強い音を奏でると、とん、と音を立てて飛び跳ねた。

　まるで、兎が駆けるような曲調に合わせて、カナがとん、とん、と跳ね踊っている。そのたびに、衣装の裾が、長い髪が、ふわりと振り乱れた。

　歌唱が始まった。カナの故郷の言語で、意味は分からない。これも跳ねるような拍子だ。音楽、歌、そしてカナの踊りが一体となる。