幼稚園の謎のお友だち

長男が幼稚園の頃の話です。


現在わたしは横浜に住んでいるのですが、結婚を機にこっちに引っ越してきたので、横浜での友達はほとんど子供つながりのママ友さんです。

一番の仲良しのママ友さんの、娘さんに起こった出来事です。

娘さんをCちゃんとしますね。


そのママ友さんと仲良くなったのは、長男の幼稚園の送迎バスのバス停が一緒だったのがきっかけでした。

さらに下の子も同い年で、長男入園から次男卒園までの六年間、毎日朝夕にバス停で顔を合わせていました。


いつも笑顔でふんわり優しくって、一緒にいてとても居心地のいい人なんです。


朝、「いってらっしゃーい!」と園バスをお見送りした後に、そのままおしゃべりしながら交差点で別れるのですが、

その時は「ねえ、うろこ道(仮)さん。幼稚園の◯◯ちゃんって知ってる?」と聞かれ。


「お名前、まだ覚えてない子もいて……(汗)」と答えるわたし。


これはわたしが人の顔と名前を覚えるのが苦手というのもあるのですが、

園の近くに住んでる保護者の方は、送り迎えで毎日幼稚園に行って余所の子と交流があるのに対して、バス通園組は行事くらいしか園に行かないので、なかなか覚えられないのですよね。


ママ友さんも「わたしもだよー!」と笑って、「それでね……」と話してくれたことによると、

その◯◯ちゃん、最近Cちゃんと仲良くて、家でもよく名前が出るくらい毎日いっしょに遊んでいるそうなんです。


ママ友さんは、「仲良しの子がいていいねえ」といつもほほえましく聞いていたのですが、ある日、個人面談のお知らせが配布されたんですね。

日時と名前が並んだプリントで、ママ友さんは、なんとなくいつも娘が遊んでいる○○ちゃんの名前を探したのだそうです。

ところがプリントには、そのお友達の名前がなくて。


別の組か、学年が違うのかなとも思ったのですが、でも話を聞くと、どう考えても同じクラスの子らしく。

Cちゃんはすごくしっかりした女の子で、お友達の名前を間違えるとか、わたしから見てもありえないんですよね。

なので、ママ友さんはなんだかモヤモヤしながら日々を過ごしていたそうです。


そして面談の日。

思い切って担任の先生に「最近は◯◯ちゃんという子とよく遊ぶらしくて……」と話したそうなんです。

そしたら先生は、「◯◯ちゃんて子はいませんよ」と。


ママ友さんは「えっ」とびっくりして。

クラスだけでなく、幼稚園の園児の中にもその名前の子供はいなかったそうなんです。


つまり、その友達は存在しなかったわけですが、その後もCちゃんから「○○ちゃんと遊んだ」っていう報告が続き……。


今もまだ、毎日のように遊んでいると。


ママ友さんは、「もう怖いよ……Cに何かあったらどうしよう……」とすごく心配していて。

私も、何と言ったらよかったのかわからなくて。

確か、とりあえず様子を見ようとかいう話になったと思うのですが……。


あれからもう何年も経ち、続報もないので自然に解決したのかな?


何年かぶりに思い出して、気になってきました。

「あれからどうなったの?」って今度会った時にでも聞いてみようかな。

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