第3話 白馬

次の日、太郎とリリーは探索2日目を迎えた。


昨日と同じように森の中を進むが、もふもふ動物の姿は一向に見当たらなかった。


「太郎さん、今日も何も見つからないですね。」リリーが少し落胆した声で言った。


「うん、でも諦めないで。きっとどこかにいるはずだから。」


太郎はリリーを励ましながら、さらに奥へと進むことにした。


森の風景は昨日と変わらず、静かで美しいが、もふもふ動物の手がかりはまだ掴めていなかった。


のんびり木の実を拾ったり、薬草を集めて進んだ。




翌日、探索3日目が始まった。


太郎とリリーは再び森の奥深くへと進んでいった。夕方近く、太郎がふと視界の隅に動くものを見つけた。


「リリー、あそこを見て。」


太郎が指差した先には、一匹の白い馬が倒れていた。


近づいてみると、その馬は怪我をして動けなくなっていた。


「これは…!太郎さん、馬が怪我をしている!」


「急ごう、リリー。持ってきた道具で治療しよう。」


太郎はリュックから応急処置用の道具を取り出し、リリーと共に馬の治療を始めた。


馬の傷口を洗い流し、持ってきた薬草を使って包帯を巻いた。


「よし、これで少しは良くなるはずだ。」


馬はまだ動けない状態だったが、太郎とリリーの手当てで少しずつ元気を取り戻しているようだった。



日が落ちる頃、馬は少し動けるようになっていた。太郎とリリーはほっと一息ついたが、突然周囲から低い唸り声が聞こえてきた。


「太郎さん、あれを見て!」


リリーが指差した先には、犬のようなもふもふ動物たちが集まっていた。彼らは口に武器を咥え、威嚇するように太郎とリリーを見つめていた。


「リリー、落ち着いて。彼らはこの馬を守っているんだ。」


太郎は静かに話しながら、もふもふ動物たちに向かってゆっくりと手を上げた。


「大丈夫だよ。僕たちは君たちの仲間を助けたいだけなんだ。」


もふもふ動物たちは警戒を緩めることなく、じっと太郎とリリーを見つめていた。


しかし、太郎の真剣な表情と優しい声に、少しずつ彼らの緊張が解けていくのがわかった。


声は小さいが「聖獣様...」と聞こえた。


「太郎さん、この動物たち、きっと馬の友達なんでしょうね。」


リリーがそっと囁いた。


「そうだね。だから僕たちが何をするのか見守っているんだ。」


太郎は再び馬の元に戻り、もう一度包帯を確認し、傷の手当てを続けた。もふもふ動物たちは距離を保ちながらも、太郎の行動を注意深く見守っていた。


「もう少しで終わるからね、大丈夫だよ。」


太郎の優しい言葉に、馬は安心したように目を閉じた。


そして、ついに治療が完了した頃、もふもふ動物たちも少しずつ近づいてきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る