第5話牧場のトラブル
いつものように、太郎は動物たちの世話に精を出していた。
しかし、その日の朝、いつもと様子が違っていた。牛を見つけた。元気を失い、食欲もないように見えた。
「クラウス、この牛の様子が変だ。何かあったのか?」
クラウスは眉をひそめ、心配そうに太郎を見つめた。
「私も今朝から気になっていたんですが、何が原因かわかりません。太郎さん、お願いします。」
太郎は即座に動物たちの診察を始めた。彼の表情は真剣そのもので、緊急対応に追われる。
検査の結果2匹の牛が、前の世界で言う結核なのでは無いかと言うことがわかった。
「これは…感染症かもしれない。すぐに対策を講じないと。」
太郎はリリーに声をかけた。
「リリー、すぐにマックスさんとミントさんに連絡してくれ。彼らの助けが必要だ。」
「わかりました、すぐに行ってきます!」
リリーは急いで村へ向かい、マックスとミントを呼びに行った。太郎はその間、動物たちの症状を細かくチェックし、治療法を考える。
2人が戻って来る前に、2匹の牛を他の生き物に感染させないよう隔離処置をした。
しばらくして、リリーがマックスとミントを連れて戻ってきた。マックスはすぐに注射器を取り出し、太郎に渡した。
「太郎、これを使え。頼まれていた注射器だ。すぐに使える状態だ。」
「ありがとう、マックス。助かるよ。」
一方、ミントは薬草を持ってきており、調合を始めた。
「この薬草は免疫力を高める効果があります。動物たちに飲ませるといいでしょう。」
「ありがとう、ミント。これでなんとかなる。」
「あと、これから言う薬草を持って来て下さい。」
前の世界で言う漢方。麻黄、桔梗、白朮の3種。
伝えると急いで持ってきてくれて調合してくれた。
太郎はマックスが作った注射器を使い、人間種のものらしいが、動物たちに必要なビタミンと栄養を注射した。同時に、ミントが調合した薬草を動物たちに与える。
「さあ、大丈夫だよ。すぐによくなる」
太郎は優しく声をかけながら治療を続けた。その姿を見守るリリーも不安そうな表情を浮かべていたが、太郎の確信に満ちた態度に安心感を覚えた。
「太郎さん、動物たちが回復するのを信じています。」
「ありがとう、リリー。みんなの協力があれば、大丈夫だ。」
できる限りの処置を行った。
数週間が経過し、牛たちの様子が徐々に回復し始めた。元気を取り戻し始めた。
「やった、太郎さん!動物たちが元気になってきました!」
「本当にありがとう、太郎さん。あなたの知識と経験がなければ、どうなっていたか。」
クラウスが感謝の言葉を述べると、太郎は照れくさそうに微笑んだ。
「みんなの協力があってこそだよ。リリー、マックス、ミント、本当にありがとう。けれどまだ終わっていない。この病気は少なくとも半年は時間がかかる。気を抜かないようにしよう。」
マックスは静かに頷き、ミントは柔らかく微笑んだ。リリーも感動の涙を浮かべていた。
「太郎さん、あなたがこの村に来てくれて本当に良かった。これからも一緒に頑張りましょう。」
「もちろんさ、リリー。僕もこの村と動物たちを守るために、全力を尽くすよ。」
太郎はこの一件で、自分の存在意義を再確認し、村の人々からの感謝の気持ちを受け取った。そして、彼は新たな決意を胸に、牧場での生活を一層充実させていくのだった。
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