第2話牧場での初日

青空が広がる朝、鈴木太郎は異世界での最初の一日を迎えた。


窓から差し込む柔らかな日差しに目を覚まし、ベッドから起き上がる。


昨日からリリーの家の一部屋をしばらく借りることになった。


「さて、今日から本格的に始めるか。」


太郎は簡単に身支度を整え、牧場へと向かった。もふもふ牧場の中心に立つと、クラウスが彼を待っていた。


「おはようございます、太郎さん。今日はあなたには動物たちの世話を学んでもらいます。」


「おはよう、クラウス。よろしく頼むよ。」


クラウスは太郎に餌の配合や分量、掃除の方法を丁寧に教え始めた。太郎は真剣な表情でクラウスの言葉に耳を傾け、指示に従って作業を進めた。


「まずは、この飼い葉桶に餌を入れてください。量はこのくらいです。」


クラウスが示した量を見ながら、太郎は飼い葉桶に餌を入れた。次に動物たちの厩舎を掃除する。


「掃除も重要な仕事です。清潔な環境が動物たちの健康を保ちますからね。」


「わかりました、気をつけます。」


クラウスの指導の下、太郎は次第に動物たちの世話に慣れていった。汗をかきながらも、一生懸命に働く太郎の姿に、クラウスは満足そうに頷いた。


「よくやっていますね、太郎さん。あなたのような人が来てくれて、本当に助かります。」


「ありがとう、クラウス。でも、まだまだ覚えることがたくさんあるよ。」




仕事が一段落した頃、コロネが元気よく跳ねながら太郎の元にやってきた。


「太郎さん、お散歩しませんか?牧場のいろんなところを案内しますよ!」


「いいね、お願いするよ。」


コロネに導かれながら、太郎は牧場内を歩き始めた。緑豊かな風景の中、動物たちがのびのびと過ごしている姿に心が癒される。


「この辺りには、よくウサギやリスが遊びに来るんですよ。」


「なるほど、リスさんこんにちは」


リスは首を傾げる。


コロネは笑いながら話し始める。「太郎さん、もふもふ種以外は言葉を話しませんよ?大丈夫ですか?疲れていますか??」


話によると、もふもふ種と動物は全く別物らしい。


「あっちには薬草畑があります。ミントさんがよく手入れしている場所です。」


「へえ、薬草畑か。後でミントにも聞いてみよう。」


「ぜひ!ミントさんはすごく物知りなんですよ。太郎さんなら、もっとたくさんのことを学べると思います。」


太郎はコロネの言葉に頷きながら、牧場の隅々まで見て回った。新しい発見が次々とあり、彼の好奇心をくすぐる。




昼時になると、リリーが太郎のために作ったランチを持って牧場にやってきた。ピクニックシートを広げ、二人は一緒に食事を取ることにした。


「太郎さん、お弁当を持ってきましたよ。お腹すいているでしょう?」


「ありがとう、リリー。すごく助かるよ。」


リリーが持ってきたお弁当は、美味しそうなサンドイッチやフルーツが詰まっていた。太郎は一口食べて、その美味しさに驚いた。


「これは本当に美味しいね。リリー、料理が上手だね。」


「ありがとうございます。太郎さんが一生懸命働いているのを見て、何かお手伝いしたくて。」


「リリーの気持ちが伝わってくるよ。本当にありがとう。」


二人は食事をしながら、今日の出来事や今後の計画について話し合った。リリーの励ましに、太郎はますますやる気を感じた。


「これからも一緒に頑張りましょうね、太郎さん。」


「うん、ありがとう。リリーも一緒に頑張っていこう。」


昼食を終えた後、太郎は再び牧場での作業に戻った。動物たちの世話やもふもふ動物のお手伝い、牧場の管理方法を学びながら、一歩一歩、新しい生活に適応していった。

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