第3話 水泳中の幽霊

私はベトナム・ダクラク省出身(男性24才)です。

この恐怖体験は中学3年生(13才)の時の話です。


私と2人の友達(ズンさん、トアンさん)は授業をサボって近くのDaklak川で水浴に行きました。


学校から約2キロメートルの岩だらけの小川は一年中冷たい水で有名で、水泳に最適な場所です。


川底には石が少なく、まるで湖のような 紺碧の水たまりのような場所を選んで、私たちは喜んで飛び込みました。


遊泳中、突然、私の隣にいた友人(ズンさん)が私たち2人に目を見開けているのが見えた。

態度が豹変した彼に聞いた。

「ズン、一体どうしたの?」

彼は返事もなく、黙ってそのまま岸へ向かって泳いで行った。


その動作がちょっと変な感じだったので、私と友人も後を追って行く。


すると、先に岸に着いたズンさんは「お前ら、急いで水から離れろ!」と突然叫び声を出した。


私は唖然とし、隣にいたトアンさんがいきなりズンさんを見て叫んだ。

「幽霊だ、幽霊がズンの後ろにいる。助けないとズンさんが危ない!」


川で幽霊に足を引っ張られたり、霊に取り憑かれたりする話を聞いたことがあるが、それが私に関係があるとは思わなかった。


なんて恐ろしい話なんだろう。


その後ズンさんは大通りまで真っすぐに走り、服をすべて脱いで、道に横になった。


ズンさんは大声で笑いながら自分の足を掻いていた。


それを見て、私は怖くて大声で泣いた。

「どうしたらいいの?トアンさん?」

「わからない、私も怖い」

「彼はもうすぐ死ぬのか?」

「あの幽霊、君と僕の中にも入って来るでしょう?トアンさん」

「わからない、どうしたらいい?」


トアンさんは私を引っ張って近くの家に向かい駆け込み、大人たちにこの惨状を言った。

「おばさん、どうか彼を助けてください!」

「彼は悪い霊に取り憑かれています!」


すると、年上のおばさんと20歳くらいの男が一緒に倒れたズンさんのところに行きました。


ズンさんはまだ裸でバカのように笑っていて道に大の字になっています。


そこへおばさんは近づいてきて、Nam mô a di đà phật (呪文)とゆっくり唱えました。


さらに、若い男に服を持ってきてズンさんに着せるように言った。


しかし、ズンさんは大声で叫んだ。

「俺に近づくな、触るな!さもないと全員、殺してやる!」


この言葉にトアンさんと私はすぐにひざまづいて手を合わした。

「ごめんなさい。私たちを許してください」と頼んだ。


そしておばさんの真似をしてNam mô A di đà phậtを唱えた。


この時、ズンさんは服を着ていたが、それでも目を見開けている。


それで私たちは、強引に一緒に彼を家に連れ帰った。


家に帰ると、彼は大声で「腹が減った、食い物を持ってこい。早くだ!」と叫んだ。

この声はいつものズンさんの声ではない。


ズンさんの両親はまだ帰っていなかったので、トアンさんと私はキッチンに入り、自分たちで勝手に料理を作った。


ご飯、野菜、スープなど彼の座るテーブルにすべてを持ち込んであげた。

彼はまるで7日間飢えている人かのようにバカ食いをした。


食後、彼は私たちを指さして

「おーい、水、タバコを持って来い!」と言った。

私は慌ててタバコを探したが、あいにく家内にはありません。


それで私は隣の家に走って頼んだ。

近所のホアンさんは、私が子供のズンにタバコを頼まれた理由を聞いた。


「なるほど。彼は悪い霊に取り憑かれるね」と言いました。


そこでホアンさんは

「そっちに行き、霊を殴ってやる」と言った。


それから彼女はベトナムで亡霊を追い払うために使われるという桑の木を庭から引き抜いた。


そしておばさんは家に入ると、すぐに大声で話す。

「ズンさん、どこだ?」


霊が乗り移った彼は彼女を見て、怖くなったように見えて、黙って座っていて。


「ズンに憑くのをやめるか?それとも私に殴られてほしいのか?」

「・・・」ズンさんは無言。


「何で取り憑くんだ?相手は子供だよ」彼女は再び叫んだ。

「・・・」ズンさんは無言。


それから彼女は猛然と突進し、鞭を手に取り、彼を3、4回続けて打った。


幽霊は「ああ、痛い!やめてくれ!」と叫んだ。


その後、ズンさんは気を失った。


私たちは顔面蒼白になって立ったまま、微動だにしないでこのやり取りを見ていた。


そんな奇怪なことを見たのは生まれて初めてである。


たった一本の桑の木だけで幽霊を追い払うことができたのだ。


しばらくするとズンさんは目を覚まし、全部を語った。


遊泳中に目の前に幽霊が立って笑んでいるのを見たそうだ。


その後、彼は何も覚えいないと言う。


私たちが彼に起こったことを語ると、彼は二度と川には水浴びには行きたくないと言った。


ホアンさんは私たちに、幽霊がたくさんいるから小川には大人と一緒に行くようにと忠告した。


幸い今回は川に引き込まれることはありませんでしたから非常に幸運だとも言った。


今でも私たちはこの酷い体験を忘れていません。


会うたびに、「おい、小川に水浴びに行こうか?」とよくからかう。


「もうそんな冗談、やめてください」と真剣に話す。


それにも拘わらず、ズンさんが「タバコ、お願い」と言ったので、私とトアンさんは「また乗り移ったのか?」とひやひやします。





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