第9話

その後、僕は高校を卒業したあと古民家の近くに引っ越した。

鏡は、今でも最奥部の部屋に存在している。


遥は、父親の魂を解放したことで、

鏡に縛られる恐怖から解放されたんだと思う。

でも、そのまま鏡に飲み込まれてしまった。


僕は、なるべく時間を作っては古民家に立ち寄り、鏡の前に立つようにした。

遥は、今でもこの鏡の中にいる。


いつか、僕も遥のところに行けるんだろうか。

鏡から突然、いつきの手が伸びてきて、

僕を掴んで、引っ張ってくれないだろうか。


そうしたら、僕は遥と一緒のときを過ごせるのに。

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鏡の中の君へ - 永遠の君への願い - 密室 @seiu

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