第18話
隆とミカは拠点に戻る準備をしていた。衣装ケースの土埃を払い、チョークだけ手に残し四次元空間へ収納した。
「本日は終わりですわね」
晴れの天気から曇り空になっていた。今にも「雨が降りそう」な感じかする。
「はい、お嬢様。マーガルの拠点に戻る準備はできております」
隆は魔法陣をチョークで描いた。陣の中心に手を乗せ、小さな青の光が無数に浮かび上がる。そのとき、大きな衝撃音が響いた。地響きがグラグラと伝わってきた。
「何やら、戦闘しているみたいですわね」
ミカの髪がユラユラと揺らめき、ふわっとまとまっていく。
「お嬢様、どうしますか?」
隆はミカに尋ね、指示を待った。
「帰りましょう」
隆は頷き、徐々に光に包まれていく。光が全身を埋め尽くすと体が透けて、拠点へワープした。
涼は、クロスボウからグーンに向けて影の矢を発射した。1発ごとに矢は自動装填され、休むことなく連射を続けた。30発近く、打ち終わると気持ち悪くなった。口から黒い血が1滴流れ出た。
「グーン、お前はここで倒す」
グーンは腕をクロスさせ、防御姿勢を取っていた。体中、矢が無数に刺さっており「常人なら立っていられない」だろう。
涼はタールのクロスボウを引っ込めて、先程入手した如意棒を呼び出した。その武器を左手で力一杯叩いた。グーンはサンドバッグ状態だったが、筋肉に血管が浮かび上がる。
「ふん、痒いな。タールに比べたら、まだまだかな」
突き刺さっていた矢は、グーンの体から垢が取れたかのようにポロポロと外れていく。矢は地面に落ち、霧散した。腕をポリポリ掻いて余裕の表情を見せた。
「お前らは許せない」
「恵のこと、サーザスのこと、影達の目的、尋ねたいことはある」が、頭の中には怒りの感情が優先され、支配された。感情と共に如意棒を握る手に力がこもる。
「うーむ、お前の怒りがヒシヒシと伝わってくるぜ。
だかな、俺にも」
話の途中で涼は、グーンの顔面に如意棒を突き立てた。グーンは額で如意棒を受け止めた。そのまま、グーンは話を続けた。
「俺にもタールを倒された憎しみが残っているんだぜ。許せねな〜、許せる訳ないぜ」
グーンは左手を握り締め、殴りかかってきた。涼は如意棒でガードしたが、一撃でヒビが入った。
グーンの攻撃を受けきれず、涼は後方へ飛ばされた。飛ばされた衝撃を両足に受け、何とか姿勢をキープしようと如意棒を地面に突き立て踏ん張った。
「この馬鹿力が。こっちだってな、許せねんだよ」
ヒビが入った箇所に薬を塗るように光が入り込んでくる。涼の意志に合わせ、如意棒のヒビが修復されていく。
「ほー、修復の力が使えるか」
グーンは左手、右手をぶん回し始めた。そのまま、カエル飛びで突進してきた。
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