第14話
黒い灰がサラサラと細かく空気中に広がる。美しき青い眼は、より一層輝きを増していた。
美しさの他に、達人のような隙のない威圧感を感じるようだ。
「どうよ、アタシの力は」
溶岩の鎧が剥がれ、全裸の女性が仁王立ちしている。足元にある日本刀の鞘を手に取った。
たっくんは慌ててミカに駆け寄る。
「お嬢様、ハレンチです」
指パッチンで空間から鞄と白い布を取り出すと、大きめの白の布をミカに被せた。
その間に収納ケースのコスプレ衣装からポリス服を手に取り、着替えをミカに手渡した。
「今日は何点だった?」
ミカは周りを気にする様子もなく、その場で着替え始めた。後ろを向き、たっくんが返答する。
「いつでも100点満点です」
たっくんは、モブキャラのモニュメント近くに落ちている異能の紙切れを手に取った。
「うーん、私的にはまだまだ何だけどな。どうせなら、骨まで残さず焼かないと」
ミカの着替えが終わると、たっくんに声を掛けた。
その様子を涼は一部始終見ており少し息が荒くなった。
「うん、中々のプロモーションだ」
涼は1人で首を縦に振り、少し眼を閉じてから観察を続けた。
「よし、どうよ」
ミカはミニスカートのポリス姿となり、感想をたっくんに求めた。
「はい、とても良くお似合いです。もっともお嬢様に似合わない服はございません」
黒の腕章付きポリスキャップは、天使のような麗しい姿だった。
涼は、たっくんとミカの一連のやり取りで異能を分析した。
ミカと名乗る女性の能力は
溶岩を纏う異能
右手から高出力のガスらしきものを排出する
日本刀は何かの異能かも
「まだ何か隠しているかもしれないな。何より相手が悪過ぎる」
関わらないことを決めて、木の上から異能のロープリフトを使い降りた。
「お嬢様、木の上から覗いていた男はどうしますか?」
たっくんは、やや機嫌が悪い顔をしながら、ミカの返答を待った。
「え、そんな人いたの興味ない」
ミカは腕組みをしながら、男のようにどっしりと構えた。
「正々堂々の人の方が好きだし」
「私は許せません‥」
ミカの裸を見たことに、たっくんは苛立ちを隠せない様子だ。スッと右人差し指を前方へ向けた。
バレていたことも知らず、涼はそそくさと足早にその場を去った。リスクが大き過ぎる相手は、今戦うべきではない。
ニーグリの対戦相手はランダムのため、雑魚狩りが基本戦法と思える。ポイント集めも運要素だ。
「あの2人の貴重な異能は欲しいが、現時点ではまだ倒せる異能を持っていない」
恵から譲り受けたマントで身を隠し近づくことも考えたが、女性の炎の鎧には対抗手段がない。ブツブツ独り言いながら大きめな石に座り込んだ。
「どうしたものか」
その時、草を掻き分ける音が鳴った。
涼は左腕にガントレットを呼び出し、臨戦体制を取った。
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