第27話 サディスト
じきにクソTの本性が明らかになってきった。
膨らんだエゴ。必死に糊塗する無能。そしてサディストとしての性癖。
クソTのサディストは無暗に行うのではなく、ターゲットを一人に絞って延々と行うものだった。つまり学校のイジメと同じだ。
私が怒らない人間だと知るとサディストの性癖を顕わにしてきた。
サーバーのケースを見て判る通りに、あらゆるこちらの動きを捉えて嫌がらせを開始した。
いわゆるパワハラである。
以前別の会議室で見たあの暴れていた作業者が消えて、膨れ上がる欲望のはけ口が無くなったのがそお一番大きな要因であろう。
それはこんな感じで行われる。
ある仕事を私に命じる。
二時間ほどすると、どんな仕事をやっているのかと尋ね、どうしてそんな無駄なことをやっているのかとネチネチと嫌味を言う。
貴方の指示ですがと答えると返って来る言葉はただ一つ。
「そんなことはないでしょう」
お前はボケているのかと言いたいのをぐっと我慢する。
この資料のここが間違っていますがと指摘するとやっぱり同じ言葉が返って来る。
「そんなことはないでしょう」
今まで色々な人を見て来たが、英語の『write』を『wite』と書く人間は初めて見た。(発音から『rite』と書いてしまう人はたまに居る)
それを指摘するとむっとする。本人は外資系の会社と英語でやり取りができる才人ということで通しているからだ。
そしてたちまちに何か因縁をつけて意趣返しをしようとする。
ワードで資料を作る。
そこで操作の段階を状態遷移図に描く。複雑な状態遷移図なので操作レベルで二段階に分けて描く。それが気に入らなかったのか、全部の状態遷移図をフラットに描けと叫び始める。
100近い状態を一枚の絵にするのは至難の技だ。A3用紙でも追いつくものではない。それらの箱の間を繋ぐ遷移線も一切省略無しで描けと言う。出来上がるのは巨大で複雑なスパゲティだ。
そしてついでに言うならばそんなものを基準としてプログラミングを行うと人間では追いつけないものが出来上がる。
クソTはこちらが反対すればするほど意固地になる。
業務命令だ。描け。
はいはい分かりましたよ。
描いた。二週間がこの無意味な図を描くのに費やされた。
当のご本人はこちらが仕事に苦しむ姿を見て悦に入っている。つまる所、この悪癖の満足を得るためにクソTは40万円の会社の金をドブに捨てて見せたということになる。
一事が万事これだ。
こちらも嫌味を一つ言ってみた。
作業者たちが集まっての昼食時にクソTの以前の会社について触れてみたのだ。
クソTがすべてのプロジェクトを放り出して逃げ出したアレだ。元の会社を危うく潰れる寸前にまで追い込んだアレだ。ウチの会社を500万近いタダ働きに巻き込んでくれたアレだ。
返事は驚くべきものだった。
「新天地を求めてここに来たんです」
ヘロリと言う。
よくもまあこんなセリフが出るものだ。
もはやこの男は人間性の根底から何かが違っているとしか言えない。
そしてそんな人間にばかり出合ってしまう自分の運の悪さを嘆くしかない。
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