第4話 中国シフト
M元部長の依頼で中国向けのタイムカード用ソフトを作ったことがある。
お値段は総額100万円。これでも制作に三か月かかったので大赤字である。(意味的には手取り月給15万円で三か月の仕事と思えばよい)
だがまあお世話になった人なので文句はない。
UARTで繋がったタイムカード記録器から情報を取込み、修正し、エクセルファイルに吐き出すものである。
実際これだけの機能があればソフト代金は500万円はするのだが、大サービスである。
将来的に良い仕事が期待できるから。
そう言われた。このセリフはこれから何度も聞くことになるが、その将来とやらが来たことは一度もない。
結局このソフトは発売されることは無かった。
当時の中国での労働形態は想像を越えていて、三連徹夜シフトや妊婦シフトなどの無茶苦茶なシフトが存足するため、日本の感覚で作られた勤務ソフトでは追いつかなかったのだ。
いろいろ向こうでの話を聞く。
日本人の課長がトイレに行った隙に中国人労働者が入り込んで勤怠記録をこっそりと書き替えることや、組んだ人間のタイムカードも一緒に押すことなどだ。
中国人の悪辣さは性善説に毒されている日本人には想像もつかないものだ。
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