第11話 罪悪感

 俺は自分話に夢中になった彼女を余所にすぐさま茂みの中に隠れた。

 逃げても姿を見て追い掛けて来そうなので敢えてこの茂みに隠れて様子を伺うことにしたのだ。


 きっと諦めて帰ってくれるだろう。


 誰もいないこんな場所に一人ポツンッとさせてしまったことには申しわけないとは感じる。が、しかし彼女の相手をまともにしていては、いつ終わるかもわからないから仕方がないのだ。


 だが、彼女は全然その場から動こうとしない。


 それにまだ一人で話してるし、いや確かに隠れてるだけで話は聞いてるけど、ここまで気づかないもんかね。


「でね、私さこのダンジョンで――ってあれ、いつの間に……」


 ようやく気づいたみたいだ。

 様子を伺うにキョロキョロと周囲を見ている。

 おそらく俺を探しているのだろう。


「何も言わず……帰っちゃたのかな? 寂しいな〜」


 すまないことをした。それは認める。

 だが、しかしまともに相手をしていてはダンジョン探索はおろか今後の生活費を稼ぐことすら危うい状況になる。そうなってはもう手遅れだ。

 すまない、本当にすまない。

 俺は茂みの中ではあるが天を見上げ懺悔した。


「でもきっとまた会えるよね! 匂いも覚えたし」


 え? 匂い? 何を言っている、あの娘は。


「ギルドに帰ろうっと」


 彼女はダンジョンの出口に向かって姿を消した。


――――――

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