第10話 いざ、対決!

 彼女が襲われる節がないようなら、彼女も魔物と手を組んでいる何者か、ということになる。

 襲われた場合はすぐさま助けに――。


「や、やめて!! 離してよおおおお!!」


 あれは間違いない。単に襲われている探索者だ。

 しかしあのスラスラと似た魔物があんなにたくさんいるところに自分から飛び出して行くのは少々気が引ける。

 あのタコ殴りにされて以降、スラスラという魔物を見るたびに悪寒というのか、寒気がするのだ。

 背中がゾッとする感じだ。


「迷ってる暇はない。一か八か行こう」


 俺は声を上げた。


「こっちだ。俺が相手だ」


 苦手を克服するなら今だ。今しかない。

 スラスラらしき魔物を片っ端から剣で断ち切っていく。飛び掛かるものは剣で受けため宙に浮かせ横一閃。

 足に付くものは引き剥がし剣を突き刺す。

 顔に付着したものは……あ、息ができない。


「ぐぼぼぼぼぼぼぼッッッ!!」


 俺は彼女に引き剥がしてくれと手で合図を出す。

 駆け付けてくれた彼女は力いっぱい顔に付いた魔物を引き剥がした。そして「えい〜!」と声を上げ巨木に投げつけたのだ。

 スラスラらしき魔物はベチャッと何ともい言えないえげつない音を立てペッタンコ。


「ふぅ〜何とかなった」

「ありがとう、おじさん」

「礼を言うのはこっちの方だよ」

「ふーん、おじさんっていい人だね」

「そうかな? あまり自覚はないけどね」

「ねぇおじさん、私のこと好きでしょ?」

「へっ? 耳がおかしくなったのかな? もう一度言ってもらえる?」

「――私のこと好きでしょ」


 聞き間違いではなかった!


 嘘だろ、今の若い子はみんなこうなのか!?


 それとも単に痛い系の女の子なのだろうか!?


 かつて地雷系タイプの女性は関わらないのが一番だと聞いたことがある。

 ここはそっと身を引くとしよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る