第8話 怪しい人影
生死を賭けた戦い――それは一秒たりとも油断を許さない状況の中で、魔物がどんな動きをし攻撃を仕掛けて来るのか見極めないとならない。
そんなギリギリの戦いを制した時、人は成長する。だから臆病にはならず挑戦し続けろ、と。
異世界で俺は勇者クレア様からそう教わった。
もちろんこの考えに賛同し、俺は自分の身を守れるほどには強くなった、はずだ。
だけど、それを活かせる場面がないのだ。
だからといって闇雲に鉱石や素材を拾っていても仕方ない。それにこのダンジョンには誰もいない様子だった。探索者の大半がこのダンジョンにはもう足を運んでいないのか、そう思えるほどシーンとした空気が漂っている。
「はーい、みんなのアイドル
決してシーンとしたダンジョンではなかったようだ。少し見えにくいが目を凝らすと、確かに人影があった。
黒髪ロングにゴスロリ衣装を着飾っている。顔までは見えないけどクセが強そうな気配だ。
まあ、多分だが女性で間違いないだろう。
だが、あんな巨木の側で一体?
あんな目立つ場所にいると、魔物の格好の的では。それにさっきから一人で話している。
もしかして危ない人では?
この先は後回しにして別の場所にでも探索してみるか。
もと来た道を引き返そうとしたその時だった。
「きゃあああ!! 誰か! 誰か助けてぇぇえええ!!」
さっきの一人で話していた女性の叫び声だった。
俺は腰に下げた剣を抜き、急いで女性の元へ向かった。するとここでまさかのまさかだった。魔物があんなに集合しているとは思わなかったのだ。
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