第4話 美人な受付嬢さん
一つくらいは弓などの遠距離武器を扱えるようになりたい。なぜならおっさんの体力は思った以上に持続しない。おまけに魔物相手に剣を振ると、さらに体力消費が激しくなるからだ。
野垂れ死ぬのも時間の問題と自分では思いたくないが、現実は残酷なものでそれが事実なのだ。
「すいません。これにします」
「片手剣……ですか。珍しいですね。だいたい皆様ダンジョンは体力勝負といった理由で遠距離でも攻撃可能な武器種を選ばれるのですが」
「いや、お恥ずかしい話ですが、片手剣以外の武器は扱えない気がしてまして」
「ああ〜体力の限界、みたいな感じですね。確かに遠距離攻撃は集中力が最も重要視されますからね。無理もありません。ご年齢は……色々キツイのでは?」
それ本人目の前にして言うセリフ?
キツイって俺自身が一番自覚してるよ。
「ええ、まあその通りですが挑戦してみようかと」
「では準備の方を進めて参りますので少々お待ちを」
受付のお姉さんを見て俺は思った。
今まで異世界で暮らしていたのもあって魔王討伐の旅に集中していた。だから恋人の一人や二人作る暇もなかった、のだと。
いわば俺は童貞体力なしおじさんなわけだ。
勇者クレア様と一時期そういう関係になりそうだったけど、結局そうなる前に魔王との対峙で急に忙しくなったもんだから、進展はなかった。
ていうか、いつまで引きずってるんだ俺。
今のは禁句だろ。
もういい歳なんだしこれからは諦めが肝心になってくる歳頃だ。
「はぁ……」
「どうかなされましたか?」
「いえ……っていつからそこに!?」
びっくりした~。
気づいたら目の前にいるんだもん。
本当に勘弁願いたいものだ。
おっさんは心臓が弱いんだから、急に現れたりされるとビクンッてなってドンッて倒れてあの世行きする場合もあるんだからさ。
「準備が整いましたので、お声掛けをと思いまして」
「ありがとうございます。会場はどこに?」
案内されたのは冒険者ギルドの裏側だった。
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