第3話







 中級貴族の求婚者を撃退した事で一安心と思ったら次は上級貴族の子息が文をよこすようになるの。


 興味があれば女房を介して文を返すけど、興味がなければ無視する。


 業を煮やした上級貴族の子息はプレイアブルキャラの屋敷まで夜這いに来て、それを撃退したら男は諦めてくれるけど、負けたら彼の妻になるしかないの。


 ・・・・・・尤も上級貴族の子息は中級貴族の求婚者と違って武術を極めていないから、育成次第では簡単に倒せるのだけどね。


 上級貴族の子息がスライムだとすれば、プレイアブルキャラはレベルを上げ過ぎた勇者って感じ?


 つまり立ち居振る舞い・和歌・手蹟・音楽だけを中心に育成して武芸方面を怠っていたら苦戦するって訳。



『おお、娘よ。あのような男に負けてしまうとは情けない』



 上級貴族の子息に負けてしまったプレイアブルキャラは某国民的RPGの王様のように、所持金の半分を取られて生き返った勇者に対するセリフを父親に言われた後、夫の屋敷に引き取られるのだけど、夫は貴族の男としての常なのか、何人もの女を作っちゃうの。


 そしてプレイアブルキャラは、『夫は上級貴族なのだから何人もの女を持つのは当たり前』という風に、周囲には鷹揚な態度を見せつつ内心の嫉妬を押さえ付ける一生を送る事になるの。


 ・・・・・・・・・・・・これ、どう考えてもバッドエンドじゃん。


 中級貴族の男性、上級貴族の子息を撃退したらプレイアブルキャラは晴れて女御として入内するのだけど、実は帝の元には既に梅壷に中務宮の姫である彩子が、麗景殿に兵部卿の宮の姫である涼子が、承香殿に平氏女王である聡子が入内しているの。

(※梨壷は東宮御所、桐壺には源氏女王である照子、宣耀殿には権大納言の娘である祥子が東宮妃として入内しているので燁子・桃子とは勝負しない)


 ちなみに設定資料集では彩子は癒し系、涼子は知的、聡子は妖艶な美少女だと書かれているけど、モブだから十羽一絡げな顔立ちをしているから何となく説得力がなかったりするのよね~。


 求婚者の男達とはプロレスとかで対決していたけど、彩子と涼子と聡子とは帝の前で香合わせと古今和歌集の暗唱、そして格闘技で勝負するのよ。


 実は彩子と涼子と聡子との勝負のフラグが立つかどうかは、帝がどれくらいの頻度でプレイアブルキャラの元に訪れているかどうか?で決まるの。


 入内してから一度も帝の訪れがない、或いは一ヶ月に一から二度だったら、例え実家がどれくらいの権勢を誇っていたとしても帝の訪れがない(少な過ぎる)=帝に愛されていない事を示すから、プレイアブルキャラはモブキャラに馬鹿にされるの!


 帝・・・お前、何考えとんねん!?


 政治バランスを考えて実家の太い女御の元に通わんとあかんやろが!!!


 モブキャラである彩子と涼子の実家は宮家、聡子は先帝の娘だが生母が更衣だったので平氏となった内親王、プレイアブルである桃子の実家は年端もいかない自分の息子達をどんどん出世させるから人望がないとはいえ右大臣家、燁子の実家は内大臣家(燁子が入内出来る年齢になっていた時の成彰は内大臣になっている)祖父は左大臣よ!?


 しかも桃子は弘徽殿、燁子は藤壺に入内している!


 言うなれば燁子と桃子は中宮候補。


 帝にとってプレイアブルキャラの実家は強力な後ろ盾なのよ!


 そんなプレイアブルキャラの実家を敵に回した結果、最終的に帝は出家させられるのよね~。


 で、東宮が即位すると。


 ・・・・・・まぁ、私の本命は帝ではなく康親様だし、帝にだって好みがあるから何とも言えないけどさ。


 病を理由に実家に帰ったプレイアブルキャラは屋敷の片隅で過ごす───という事はなく、実はある男性と密通して子供まで成してしまうの。


 それを知った父はプレイアブルキャラを出家させ、帝は相手の男を遠流にしたかったのだけど、実は密通した男って臣下となった腹違いの弟。


 先帝の名を穢したくなかった帝は昇殿を認めなかったけどね。


 燁子or桃子は入内した時にしか訪れがなかった帝を一度も責めなかったじゃん!


 お前にとってプレイアブルキャラは好みのタイプじゃないんでしょ?


 だったら腹違いの弟との仲を認めて私を下賜すればいいじゃん!


 帝が下賜したとなれば、あんたはプレイアブルキャラの実家を敵に回す事なく帝位に就いていられたし、モブと愛に満ちた日々を過ごせたのにね~。


 まぁ、それに関してはどうでもいいや。


 帝の気を引くには音楽と絵画、そして物語。


 それ等で気を引く事に成功すれば帝はプレイアブルキャラの元に通うようになるの。


 そして何度も通っていくうちに帝はプレイアブルキャラの人柄を知るようになり愛するようになるのだけど、同時に彩子と涼子と聡子との対立フラグが立つようになるの。


 先にも言ったけど彩子と涼子と聡子とは香合わせと古今和歌集の暗唱、そして格闘技。



『おお、娘よ。あのような女に負けてしまうとは情けない』



 彩子と涼子と聡子に負けてしまったプレイアブルキャラは某国民的RPGの王様のように、所持金の半分を取られて生き返った勇者に対するセリフを父親に言われた後、実家に戻されるだけではなく出家させられるのよね~。



 三つのうち二つの勝負に勝てば後は帝との間に皇子を儲けて中宮に冊立───かと思いきや、最大のライバルが出現するの!!!


 そのライバルこそがもう一人のプレイアブルキャラ!


 つまり、プレイヤーが燁子を使っていたら桃子が、桃子を使っていたら燁子が最後の壁として立ちはだかるの。


 もう一人のプレイアブルキャラとの対決は香合わせと古今和歌集の暗唱に加えて音楽、そして格闘技。


 彩子と涼子と聡子との戦いは二勝すれば良かったけど、最後の戦いは全勝するだけではなく周囲の貴族の支持も得ていないといけないの。


 桃子の実家は右大臣家だけど先に述べたように自分の息子達を出世させているから周囲の貴族からは反感を抱いているし、母親の道子は受領の娘だから支持を得にくい。


 仮に桃子が燁子との戦いに全勝したとしても桃子の立后は難しいの。


 逆に燁子の父親である成彰は内大臣でありながら周囲の反感を買わないように振る舞っているし、何れは祖父の後を継いで左大臣になる・・・はず。


 燁子の母親である綾子は式部卿の宮の娘だから血筋的に見て中宮になっても問題はない。


 今の私は燁子だから普通に考えたら中宮になるのでしょう、多分。


 康親様をはじめとする中級貴族と上級貴族の子息の求婚さえなければ、大貴族の姫に相応しい教養を身に付ければ・・・だけど。


 でも私の好みは彫刻にして残したいくらいな芸術的な肉体を持つ一途で聴いているだけで妊娠してしまいそうなイケボの康親様♡


 実家の為に中宮になったとしても地方と比べたら都の食生活は貧しいし、何と言っても占いとかで行動が決められてしまうからね~。


 好きな時に風呂に入れない!


 髪が洗えない!


 地方と比べたら貧しい食生活!


 これって何という地獄なの!?



(・・・・・・・・・・・・)


 うん、決めた!


 お風呂の為、豊かな食生活を送る為、私は康親様の妻になる!!!









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転生者は入内したくない(仮) 白雪の雫 @fkdrm909

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