第14話

博多の夜は静かに更けていった。私たちが捜査を終え、探偵事務所に戻った後、叔父の三田村幸一探偵は一人静かに博多の夜景を見つめていた。遠くに見える港の灯りが、まるで星のように輝いていた。


「香織、次こそは真実を解明してみせる。」叔父の言葉は決意に満ちていた。


私はその背中を見ながら、叔父の強い意志を感じていた。事件が未解決のまま終わりを迎えたことへの無念さはあったが、諦めない姿勢が私たちの絆を一層強めていた。


その後も私たちは新たな手がかりを追い続け、捜査を続けた。しかし、時間が経つにつれて事件の記憶は少しずつ薄れ、別の事件が私たちの注意を引くようになった。


それから10年が経ったある日、私は一通の手紙を受け取った。それは叔父からの手紙だった。


「香織、涼介


久しぶりだね。君たちのことをいつも思っている。白珠堂事件のことが気になっていることだろう。実は、最近韓国の釜山で白珠堂事件とよく似た事件が発生していると聞いた。犯人の手口が非常に似ているんだ。


しかし、私は病気のため、自分で捜査に赴くことができない。そこで、香織と涼介にこの事件の捜査を依頼したい。君たちなら必ず真実を見つけられると信じている。


釜山の友人に君たちのことを紹介しておいた。詳しい情報は同封している。どうか、白珠堂事件の真相を明らかにし、犯人を捕まえてほしい。


よろしく頼む。


三田村幸一」


手紙を読み終えた私は、胸の奥に熱いものが込み上げてきた。叔父の信頼と期待を感じながら、私は手紙を握りしめた。


「涼介、釜山で新たな事件が発生したわ。叔父が私たちに捜査を依頼している。」私は涼介に手紙を見せながら言った。


「わかった、香織。必ず犯人を捕まえよう。」涼介の目にも決意が宿っていた。


こうして、私たちは新たな冒険に向けて動き出した。10年の時を経て、再び同じ手口の犯人を追い、真実を解明するために。博多の夜景に思いを馳せながら、私たちは次なる挑戦に向けて準備を整えたのだった。


「真実は、いつも一歩先にある。」叔父の言葉が再び私の心に響いた。この旅が終わるまで、私たちは決して諦めないと誓いながら、釜山への道を歩み始めた。

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