第13話
白珠堂に戻った私たちは、地下道での捜査が思うように進まず、無念の思いを抱えていた。店内の空気は重く、従業員たちの顔には不安と疲れが見て取れた。オーナーの白井氏もまた、落ち着かない様子で私たちを迎えた。
「三田村探偵、いかがでしたか?何か手がかりは…」白井氏の声には期待と不安が入り混じっていた。
叔父の三田村幸一探偵は、静かに頭を振りながら答えた。「残念ながら、決定的な証拠は見つかりませんでした。しかし、犯人が使用したと思われるいくつかの小道具と手がかりは発見しました。これを基に、さらに捜査を進める予定です。」
「そうですか…」白井氏の肩が落ちた。その顔には失望の色が浮かんでいた。
「ですが、まだ諦めてはいません。犯人が博多に潜伏している可能性は高いです。これらの手がかりを基に、さらに捜査を続けます。」叔父は力強く言った。
「ありがとうございます。どうか、真珠のネックレスを取り戻していただけるよう、引き続きお願いします。」白井氏は深く頭を下げた。
私たちは白珠堂を後にし、探偵事務所へと戻った。事務所の中はいつものように静かで、事件の重圧が一層感じられた。叔父は机に向かい、地下道で見つけた手がかりを一つ一つ広げて整理し始めた。
「このピッキングツール、黒い布切れ、そしてメモ帳…これらは全て重要な手がかりです。しかし、まだ真珠のネックレスの所在には至っていない。」叔父は自分に言い聞かせるように呟いた。
私は叔父の背中を見つめながら、次の手がかりを探す決意を新たにした。「叔父さん、これらの手がかりを基に、さらに捜査を進めましょう。必ず犯人を見つけ出し、真珠のネックレスを取り戻します。」
「そうだな、香織。我々の仕事はまだ終わっていない。真実は必ず見つけられる。」叔父は私に向かって微笑んだ。その笑顔には確かな信念が宿っていた。
私たちは再び事件の全貌を見直し、次なる手がかりを追うための計画を立てた。犯人が博多に潜伏している可能性は依然として高く、全ての手がかりを集めることで真実にたどり着けるはずだと信じていた。
「明日からは新たな手がかりを追い、博多中を捜索しましょう。犯人を見つけ出すまで決して諦めない。」私は決意を込めて言った。
「その通りだ、香織。次の一歩を踏み出そう。」叔父は再び資料に目を通しながら、力強く頷いた。
こうして、白珠堂の事件は未解決のまま幕を閉じたが、私たちの捜査は終わらなかった。次なる手がかりを追い求め、博多の街を駆け巡る日々が続くこととなった。真実はいつも一歩先にある。叔父の言葉を胸に、私たちは新たな挑戦に立ち向かう決意を新たにしたのだった。
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