第12話

犯人が闇夜に紛れて姿を消した後、私たちは再び地下道の出口付近を調査することにした。逃走劇の余韻が残る中、叔父の三田村幸一探偵は冷静に状況を見極め、犯人が残した痕跡を探し始めた。


「まだ何か手がかりが残っているはずです。慎重に調べましょう。」叔父はそう言いながら、懐中電灯を片手に地下道の出口付近を照らした。


私たちは地面や壁、そして小さな隙間にまで目を凝らし、犯人が急いで逃げ去る際に残したものを探した。しばらくして、地面に光る何かが目に入った。


「ここに何かあります。」私は声を上げ、地面に落ちていた小さな道具を拾い上げた。それは、細工が施されたピッキングツールの一部だった。


「これは…犯人が鍵を開けるために使ったものでしょうか?」私は叔父に差し出しながら尋ねた。


「その可能性が高いです。精巧なピッキングツールです。犯人は非常に熟練しているようですね。」叔父はツールを慎重に観察し、証拠袋に入れた。


さらに調査を進めると、壁際に小さな布切れが引っかかっているのを発見した。それは黒い布で、犯人の服の一部と思われるものだった。


「これも犯人が残したものですね。」叔父はその布切れを拾い上げ、指で撫でながら言った。「この布には何か特別な繊維が含まれているかもしれません。後で分析してみましょう。」


出口付近にはさらにいくつかの小道具が散乱していた。犯人が急いで逃げる際に落としたものだろう。例えば、小さなメモ帳が見つかった。そのメモ帳には、いくつかの暗号のような記号と数字が書かれていた。


「これは一体何でしょう?」私はメモ帳を手に取り、ページをめくった。


「おそらく、犯人が計画を記したものか、もしくは連絡先のようなものかもしれません。」叔父はメモ帳を取り上げ、慎重にページをめくった。「これも重要な手がかりになるでしょう。」


これらの手がかりを集めながらも、真珠のネックレスの所在を示すものは見つからなかった。犯人は非常に用心深く、真珠のネックレスをどこに隠したのか、その手がかりを残していなかった。


「真珠のネックレスはどこに隠されたのでしょうか…」私は悔しさを滲ませながら呟いた。


「まだ手がかりは残っています。これらの証拠を基に、さらに捜査を進めましょう。」叔父の声には決意が込められていた。


こうして、地下道の出口付近で犯人が残した手がかりを集め、私たちは新たな方向へと捜査を進めることになった。犯人は逃亡したが、真実はまだ見つけられる。私たちはその一歩一歩を確実に進めていく決意を新たにしたのだった。

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