第11話

地下道を進むうちに、私たちはさらに奥深くへと足を踏み入れた。暗闇の中、懐中電灯の光が頼りだった。地図に示された道をたどりながら、私たちは慎重に進んでいった。突然、前方に人影が見えた。


「誰かいる!」私は低い声で叫んだ。


その人影は一瞬立ち止まり、私たちの存在に気づいたようだった。懐中電灯の光がその人物を照らすと、黒い服に身を包んだ犯人が浮かび上がった。顔はマスクで覆われ、冷静な目がこちらを見つめていた。


「逃がさないぞ!」叔父の声が地下道に響いた。


犯人は一瞬の躊躇もなく、即座に逃亡を図った。私たちは急いで追いかけたが、地下道は迷路のように入り組んでおり、追跡は困難を極めた。犯人は地下道の構造を熟知しているようで、巧妙に逃げ回っていた。


「このままでは逃げられてしまう…」私は焦りを感じながら走り続けた。


犯人は狭い通路を巧みに使い、私たちの追跡をかわし続けた。突然、犯人が壁に開いた小さな穴に滑り込むのを目撃した。叔父と私はその穴に向かって走り寄ったが、そこは地下道の秘密の出口のようだった。


「ここが出口のようです。急ぎましょう。」叔父は息を切らしながらも冷静に言った。


私たちは出口に続く通路を全速力で駆け抜けた。地上に出ると、そこには薄暗い闇夜が広がっていた。遠くから車のエンジン音が聞こえ、犯人が逃走用の車両に乗り込もうとしているのが見えた。


「待て!」叔父の叫び声も虚しく、犯人は素早く車に乗り込み、急発進した。


私たちはその車を追いかけようとしたが、あまりに距離がありすぎた。車は闇夜に紛れて姿を消していった。道路にはわずかにタイヤの跡が残されていたが、追跡するには不十分だった。


「逃げられましたね…」私は肩を落として言った。


「まだ手がかりは残っています。決して諦めてはいけません。」叔父の声には決意がこもっていた。


私たちは再び地下道に戻り、犯人が残した痕跡をさらに調べることにした。地下道の奥深くで発見した小部屋や日記、そして新たな手がかりが、次の追跡の糸口となるかもしれなかった。


「犯人は非常に用心深い。しかし、必ず捕まえてみせる。」叔父の言葉に、私も再び決意を新たにした。


こうして、犯人を追い詰めるための新たな捜査が始まった。闇夜に消えた犯人を追い、真実を解明するために、私たちは再び動き出すのだった。

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