第30話
翌日、ドルフの住民達に見送られて出発したリン達は昼頃に城へと戻り、謁見の間でエドワードと向かい合っていた。
「さて、お前達。今回の件は本当によくやってくれた。消失していた町や人間達が完全に消えたわけではなく、俺達から見えないところに閉じ込められていたという事実と原因さえ無くしてしまえばどうにか出来るという事がわかった以上、同じように消失現象が起きている地でも少しずつ対策を講じ始めるだろう」
「そうでなくちゃな。んで、これからはどうする? 今回はとりあえず隣国に行こうって話にしたからここでの消失現象を解決出来たが、次の行き先を決めねぇと進めねぇぜ?」
「そうですわね。マリア様、何かご希望はありますか?」
「希望? そうね……それなら、他の四天王達が支配する予定だった地域に行ってみるのはどう? この消失現象は恐らく世界各地で起きてるだろうし、他の四天王達も巻き込まれてる可能性は非常に高いわ。もしそうなら助けたいし、リンとしても百鬼夜行に加えたいところでしょ?」
「もちろんだとも。四天王やいなくなった亜人達、魔王も加えた真・百鬼夜行を作るのもまた一興だからな。それで、どの四天王のところから行くんだ?」
マリアは少し考えた後に答えた。
「だったら炎の四天王、
「ほう、炎の四天王か。そんなら俺の百鬼夜行にも炎につえぇ奴がいるし、ちょうど良いか。なら次の目的地はイドツ連邦に決まりだな」
「わかった。ならばさっさと出発するぞ。各地の消失現象の解決もそうだが、元を絶たねばまた次の被害が出るだけだからな」
「だな。んじゃあエドワード、俺達はそろそろ行くぜ」
エドワードは笑みを浮かべながら頷く。
「ああ、気を付けてな。またここに来る事があったら、遠慮なく城を訪れてくれ。その時は更に美味い料理や酒を振る舞ってやるからな」
「かっかっか! そりゃあ楽しみだ。そん時には他の四天王や魔王も連れてくっからドルフや他の町の奴らも呼んでより賑やかにやろうぜ」
「はっはっは! そうだな、その時は賑やかになるように努めるとしよう」
「おう。んじゃあな」
アイリーンやオーマ達がそれぞれの言葉で別れを告げた後、リン達は謁見の間を出ていき、エドワードは玉座に腰を下ろした。
「実に愉快な男と出会えたものだな。故郷を失いながらも陰を帯びること無く太陽のような明るさで仲間や民達を照らす存在。俺も負けられないな」
エドワードが笑みを浮かべていた時、そこに何人もの人々が現れた。
「失礼します、エドワード王」
「ん? おお、ドルフの住民達か。リン達ならもう旅立ったぞ」
「はい、先ほどそこで出会って激励をしました」
「少しずつ私達の町も元気を取り戻し始めているので早速それを報告に参りました」
「はっはっは、そうか。せっかくだ、飯でも食いながらその話を聞こう。消失現象に巻き込まれていた間の話もより詳しく聞きたいからな」
その後、エドワードとドルフの住民達は大広間に移動して食事をしながら話をした。その顔はとても明るく、雰囲気もとても賑やかな物だった。
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