第4章 埠頭
気がつくと何処かの港に降り立っていた。
周りを見ると、少し離れたところにベイブリッジが見える!
私 『よ、横浜⁉️』
どうやら、着地点を誤ったらしい…
しかも裸足にパジャマ姿である。勿論財布など持っていない。
私 『や、やべー。明日仕事なのに。こんな所でどうやって帰れば良いのか…』
もう一度周りを確認する。倉庫のような建物があり、フォークリフトが行き来している。
恐らく船から降ろされた荷物を運んでいるのだろう。その倉庫の近くにプレハブで出来た売店らしき建物がある。
私 『とりあえず、売店らしきとこに行こう。信じてもらえるかわからないが事情を話してみよう。』
プレハブ小屋の前に着く。やはり売店だった。港湾労働者の為の売店の様だ。
私 『夜中だけど営業している。良かった。』
レジには30代と思しき女性が座っている。店内はなぜか、ランドセルを背負った小学校低学年の子供達が5〜6人買い物をしている。
私 『何故こんな時間に子供達がいるのか…』
不思議に思いつつもこの状況を何とかしたい私は店に入った。
レジの女性 『いらっしゃい!あら、◯◯さんじゃない?』
私 『そ、そうですけど…どこかで?』
レジの女性 『あれ?でも…あなた、若いわね。あっ!息子さんかな?』
まるで私の事を知っているかの様に話してくる。
しかし。私の父親はフィリピンにいるはずだしこの人が知るわけもない。
私 『じ、実は…』
とこれまでの経緯を話した。が、レジの女性は笑いながら言った。
レジの女性 『◯◯さん面白いわ。また私にドッキリでしょ?息子さんまで使って。
あなたのお父さんは本当にエンターテイメントだわ』
何でも私に似た人がよくイタズラをするんだとか。それも毎回面白くて楽しいんだとか…
どうやら私は何か勘違いされているようだった。
レジの女性 『さ、もうバレバレよ。あんまり凝すぎは逆効果だとお父さんに伝えて笑 』
と言うと父親とあなたの分と言って缶コーヒーを2つくれた。
話しにならないとわかった私は店からでた。
海の方へ目をやる。すると、オレンジ色の小さな灯が見える。何となく近寄って行くと暗がりのなかに薄っすらとフォークリフトのシルエットが見えた。
オレンジの灯はフォークリフトの運転手がタバコを吸っていたのだった。
何故か、懐かしい様な、親戚のような、兄弟のような感覚があった。
私 『すみませーん。あ、あのう…』
運転手 『おう!随分と遅かったなぁ。だいぶ待ったよ。』
私 『えっ⁉️』
ゆっくりと運転手に近づく…
タバコの灯で少し顔が見える。何故か、見た事がある。が、わからない。
目の前まで来た。
運転手 『今だよ、人生を変えるタイミング。このままの状態が続けば今の俺みたいになってしまう。この状況変えてくれ!』
私 『いっ、一体何だって言うんだ…』
その時運転手がタバコ吸うと同時にオレンジの灯が強くなる…そしてハッキリと顔が見えた。
それは多分、30年位後の……私…自身…だった…
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