3日目 聞いてない…

3日目 聞いてない…


午前五時半ごろ、まだ日が登る前に目覚ましが鳴った。いつもの始まりダァ!!

さてと、今日もまた風呂に行って、飯食って、制服着て、必要なもの全部きっちり揃えて、

アタッシュケースに入れて、確認したら行ってきまーす。

ちなみに私の持ってるアタッシュケースってアームドスーツの装甲に使われてる素材とおんなじものが表面に使われてるんだってね。

メチャクチャ軽いのに傷もつかない優れものだ。それもそのはず。何十万もした正規品だからな!!

これのせいで財布の中身は傷だらけだよ。いや、スッカラカンと言ったほうがいいかな?

ちなみにここで豆知識。

私たち訓練生はメインカラーが黒に白いラインが襟淵、袖淵、裾淵、そして後ろのところにある。

これが階級ごとに違う。メインカラーは訓練生は黒、ファイターと呼ばれるアームドスーツのパイロットはベージュ、支給班は紺、重役は白、それ以外の役は赤色になっている。

そして淵にある模様と色も違う。模様はファイターは炎だ。

そして支給班は二重ライン、重役は剣のマークだ。

それ以外は氷の結晶だ。色はそれぞれ、階級を表す。

八段階になってて、下から緑、青、赤、濃い赤、オレンジ、白、黒、金色だ。これで覚えてくれればだいぶ楽だ。

さて、こんなことは置いておいて、自分のデッキについた。またサンダース隊長がいないようだ。

次はどんな手段で起こすとしようか…あっ、社長の声を合成して流すか。きっとびびるぞぉー。

「おはよう。」

起きてたみたいだ。ならよし。さて、今日は何をするのかな?

「今日は何をするんですか?」

「早速だけど、戦闘が各地で行われてるのは知ってるだろう?」

「はい。」

「まあだいたい想像つくと思うが、その前に、君に渡すものがある。」

そう言って彼は片手に持っていた箱を私に渡した。

「開けたらその中にある服装に着替えてくれ。サイズはもう測ってある。」

私はデッキ横の部屋に行き、扉を閉めて、箱を開けてみた。すると中にあったのは凄まじくすごいものだ。

そう、正式兵としての新しい制服だ。黒いズボンにベージュのロングコート。そして白色の炎模様。

それにしてもいきなり三番目にすごいいいからスタートとは。ありがたい。でもなぜだろう?

とりあえず着替えてみた。すると全てがピッタリ自分の体に合う。これはすごい。

着替え終わって外に出ると、サンダース隊長が待っていた。

「似合っているぞ!いきなり俺を抜かすとはな。さすがだ。」

「いや、ありがとうございます。でもなぜこんなに上の立場からスタートなのですか?」

「昨日のあの出来事があったからだ。インディバル・パーシュート社は戦績至高主義だから、戦績がいいやつが上の位にいけるんだ。

まあ、悪いと下がるが。」

まさか教官を倒したことがそんなに響いたとは。たしかに教官は白の前のオレンジの炎だったはず。

だからその一つ上になったのか。

その後、訓練生の時の制服を渡した。

「それじゃあ話を戻そう。いきなりだが、戦うぞ。対人戦だ。生きるか死ぬかだからな。」

「どこでですか?」

「第四戦闘区域だ。かなり近い。そこで今戦闘を行うと言う指令がきた。」

「了解です。」

そして私はすぐに準備を始めた。これからは生きるか死ぬかの世界だ。私がやらなければ誰かがやられる。

そんな世界だ。まさかそんな世界に3日目で投げ出されるとは。

へっ、まったくすごいことだ。コックピットから伸びるラダーを駆け上がり、シートセッティング、

カチッ

カチッ

カチッ

カチッ

カチッ

システムレバーを全て上げる。そのまま設備点検。

「ディスプレイよし!、スタビライザーよし!、テンプレチャープレート及び反動制御システム、リフレクターよし!

システム、オールクリア!!」

そのままコックピットハッチを閉じる。何重にもロックされるこのコックピットハッチは中から見てもすごい迫力だ。

装甲が全部端から端まで全て重なり合う。こんな精密機械に乗って戦うなんて、全くいかれてるよな。

それにしても前から気になっていたが、私の機体が他の機体と違って真っ赤な赤色なんだよな。

まあ、かっこいいからいいけれども、なんでこの色なんだろうか。戦場で目立つったらない。

「さてと、俺らでこの戦いを終わらせるぞ。」

今回はサンダース隊長とその部隊との出撃だ。足を引っ張らないように頑張らないと。

敵は量産型とはいえども、大軍だ。さらに、第四等級が二機もいると報告があったそうだ。

一対一のチェイスはできるけど、二対一のチェイスはメチャクチャきついからな。何せ、少し間違えればこっちがやられる。

『こちら司令部。レイダース部隊は第三、第四、第五カタパルトを使用。残りの部隊はハイパーカタパルトへ迎え。』

私は機体を歩かせた。四脚だから振動が少ないが、集中してみると若干重く感じる。

今までは大学で二脚、ライセンス取得時に逆関節機体だけは扱った。

でも四脚はまだ扱ってないが、ほとんどおんなじ感覚だ。

さて、角を曲がって、そのままカタパルトにショルダーフックと、脚部マウント用カタパルトスタンドを立てた。

そしてそのまま上部セーフティーステーを取り付けた。あとはそのままギアをニュートラルに移行してスラスターを吹かした。

初めてやったが、案外簡単だな。さてとあとはそのままカタパルトでぶっ飛ぶだけだ。

『ギアを巡行に移行。発信まで二十秒前。』

よし…行くぞっ!

『5…4…3…2…1…0!!』

カタパルトスタンドから火花が散った。そして風になった。

機体のあちこちから風切り音が聞こえる。

そしてそのまま一気に加速して隣にいるサンダース隊長と合流した。

『さてと、今から仕事の時間だ。こっちは雑魚を散らすからそっちはよろしく頼んだぞ。』

「了解。」

巡航中は特に問題こそないものの、いざ戦うとなると不安だ。私に人を殺すことができるのだろうか。

でも不安になったところでもう立派なファイターだ。やらなきゃいけない。制服の襟を整え、一回息を吐いた。

『さて、ついたぞ。今はとりあえず君は私の後ろについててくれ。もし援護ができれば頼むぞ。』

「了解です。」

そのまま一気にサンダース隊長と共に降下した。草原に少し建物がある。だから遮蔽物も十分だ。

『早速だが、敵が確認できるな?できたらもうどんどんやっていけ。』

敵はだいぶ遠くに見える。相当遠い。がこっちに迫ってきているようだ。

『じゃあ、俺は後ろで今は蹴散らしてるから、前に出てどんどんやってもいいぞ。まあ、援護でもいいが、君にはできるだろう。第四等級を蹴散らしてこい。』

「了解です。」

まずは一つ一つ建物に隠れながらライフルのカメラスコープで敵を確認する。あと2キロ近くはありそうだ。

確認して次の建物に行こうとした次の瞬間…

バァン!!!!

サンダース隊長の持ってた重スナイパーの音が響いた。

「大丈夫ですか?」

『問題ねえ。あと危なかったな。今移動してたら向こうのスナイパーがお前を射抜いてただろうな。』

危なっ!!今移動したら速攻詰んでたかもしれない。

広域レーダーを常に確認しなくてはな。改めて確認したが、もう二機いるようだな。

ライフルをチャージして、いるところに向かって発砲した。

パァン!!!!

無事に相手のカメラアイの部分を潰したようだ。

そしてもう一発!!

パァン!!!!

次はラジエーターを貫通してサブジェネレーターをやったみたいだ。これでなんとかなるだろう。

次の瞬間、前から金色の筋が伸びた。

『くそっ、腕部に被弾か。スタビライザーカートリッジ入れ替え!!』

サンダース隊長に命中したようだ。さっきの発砲で場所がばれたのだろう。

「大丈夫ですか!?」

『大丈夫だ。なんとかスタビライザーへの被弾だった。俺の機体はよくやられるスタビライザーはカートリッジ式になってるから交換すればどうにかなる。』

そんな便利な機能はスナイパー特有だな。私の機体にはない。

まあ、その話は置いておいて、スナイパーは全部潰れたようだな。よし、攻め込もうか。一気にスラスターを吹かして攻め込む。

そして相手と接敵した。相手は中距離タイプみたいだ。とりあえずまずは様子を伺う。

相手は両手ライフルにミサイルランチャーだ。を保って中距離で撃ってくる。特に痛手ではないが鬱陶しいタイプではある。

こっちもアサルトライフルを避けながら引き撃ちして、片手をブレードを出力最小で広範囲に展開してシールドにしている。

ただ、これではミサイルは防げない。そのため、時折ジャマーを展開して回避している。

だが、相手も戦術を変えてきた。急に接近してライフルでこっちのライフルを叩き落とそうとしてくる。

そしてまたライフルを構えた時…

スッ…

危なっ!!ライフルが落とされるところだった。だが、相手は今ので姿勢が崩れた。

今だ!!ブレードをシールド形態からフル出力にして一気に足と腕を掬い上げる。

あとはライフルでカメラアイを撃ち抜けばこっちの勝ちだ!もらったっ!!そのまま撃ち抜き、ライフルをフルチャージしてコックピットに向けた。

人をやらなければならない責任が私にはある。

私は初めてそのまま引き金を引いた。決して軽いものではなかった。

パァン!!!!

そのままコックピットを貫通して、ジェネレーターに命中した。すまないが、これは死んだな。

『やったようだな。最初の1人の引き金は重かっただろうに。よくやった。あとは雑魚を散らすぞ。』

「了解です。」

その後はひたすら点々としている奴らを叩いていった。そうしているうちに広域レーダーから敵影が消えた。全部やったみたいだな。

さてと帰還するとしようか。

「敵を掃討したようです。帰還しましょう。」

『今回は俺らだけの出撃だったが、今も他のところで別部隊が戦ってる。だからあの時俺ら以外のカタパルトが作動してたんだ。』

「そうなんですね。」

『そうだな。じゃあ帰還するか…待て、何か来ているようだ。』

何かが急接近しているようだ。

『おそらく第五等級ものだ。やられるなよ。』

「聞いてない…そんなこと。」

第五等級物と戦うなんで不運なもんだ。これで早速2回目だぞ?勝てるかこれ?

まずは敵の武装を確認。マシンガン二丁持ちにガトリング砲二丁持ち。

連写の鬼きちゃー。

まずは相手の戦い方を…ってだいたい想像つく。

中距離から近距離でゴリ押しだろう。そうして到着する瞬間。いきなり相手がこちらに銃口を向けた。

しかし、次の瞬間…

バァン!!!!

サンダース隊長が相手の頭を撃ち抜いた。重スナイパーの響きだ。そのまま機体は落ちていった。

一応ライフルをチャージしてコックピットにはなった。

『試客の対応はスナイパーの基本だ。まあ、もてなしてやったまでだがな。』

え?ああ、そうなんですか。ああ。

ちょっと困惑した。何せ戦う気満々だったのがいきなりあっけなくスナイパーが片付けたのだから。

『これがスナイパーの楽しみだな。初見殺しは俺の得意技だ。』

でしょうね。最初から一歩間違えたらクビなんて知るかよぉ〜。

『とりあえず打ち止めだ。今日は帰るぞ。』

「り、了解です。」

またスラスターを吹かして加速した。そして離陸し、戦闘区域を離脱した。最後の狙撃はお見事だったが、びっくりした。

なんだよあれ…さすが初見殺しの達人だな。

そうしてスラスターを吹かしているともうついたようだった。カタパルトに入場するが、これが案外難しい。

四脚はさらに四つを合わせるのが難しい。

『ロースタビライザーを起動して、外に投げ出す。そしてそのままロウアーダンパーとサスペンション立てれば安定するぞ。』

わかってるわ。まずはロースタビライザーを下ろして、脚部を固定。

そのままロウアーダンパーとサスペンションをロックして立てれば…よし。固定できた。

初めての着陸だ。うまくいくか?

カチャン!

うまくいったようだ。あとはフラップを畳めば。無事着陸。

『お疲れ。ちなみにそれって何式?』

「ああ三式です。それで、どうしたんすか?」

サンダース隊長は何かを知っているようだった。

『三式?ずっと二式だと思ってたわ。三式ならスロットルスタビライザー下ろすだけで、あとは全自動で行くよ?』

ってんなこと知るかよ!!先に言え!!結構大変だったんだからな!!

「え?そんなの今知ったんですけど。誰からも聞いてないです…」

『俺も今君が三式ということを知った。』

介護センターに行ってこい。そしたら幾分か治るかな?ただ、まだまだ元気な爺さんだよ。

まあ、いいことだがな。もう疲れたぁ、さてと、寮に帰えろう。

機体をデッキに戻してそのまま寮に向かって歩いた。そして無事に着くと、もうすぐに風呂に入った。

そして飯を食って、歯を磨いておやすみぃ!!

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