2日目 ちょっと待ってくれよ
さて朝早く起きて、軽くシャワーを浴びて、髪型整えて、朝飯軽く食べて、制服着こなして、アタッシュケースに物ぶち込んで、玄関を出る。
さて、今日からやっとアームドスーツに乗れる。気分を入れ替えて自分のデッキに向かう。今日は快晴だ。
雲ひとつない!…って言いたいがあそこにうすーく雲がある。
さてと、もう会社のデッキについて、早速サンダース隊長を呼びに行く。
「隊長。いますか?」
どうやらいないようだ。もうどこかに出かけたのか。早いもんだ。
もしくは…これもしかして隊長って寝坊してる?
いやないない。
でも…あり得る話かもしれない。もしものことがあったらやばいな。とっととアタッシュケース片手に体長の量まで全力ダッシュした。
五十メートル走五秒前半舐めるなぁ!!
って走っていると、もうそこは体長の寝てると思われる仮眠室だった。案の定、体調はそこで寝ていた。
さて、普通に起こそうか…って待てよ。
ちょっとイタズラするか。昨日のやつを晴らすためにはちょうどいい。
防音で他に誰も寝ていない。
よし…私はアタッシュケースの中にある雷管銃を取り出した。元々は訓練で合図の時に使う用のものだ。
たかが一発打とうとまだまだ腐るほど雷管はある。これで叩き起こしてやろう。さてと、中に雷管詰めてと…
「…あと少しだけ待って…」
寝言を言ってるようだな。でも、約束の時間は守りましょうね。マジでクビになるかも…まあいいや。
約束に遅れたことがバレてもまずいならやってやろう。
引き金に指をかける。よし行くぞっ…三…二…一…
カチッ…
ドーーーン!!!!
凄まじい轟音が鳴り響いた。さらにちょっと煙い。
これで流石に起きただろ…
って嘘だろ?まだ寝てるのか…一体どうなってんだ…もういいや。この際雷管二丁持ちでぶっ放そう。くらえ!!
ドーーーン!!!!
ドーーーン!!!!
今度もまたおっそろしいレベルの轟音が響き渡った。これには流石の隊長も…って起きないぃー。
何これどうなってんの?もしかして何かある?ちょっと不審におもって隊長に近づいてみると、
ガン!!
痛っ!
鼻をぶつけた。
と言うかなんだこれ。めっちゃ透過度高い防音材か?
確かにここには壁がある。んで、こっちには…ん?何これ?ドアノブ?よし、開けてみよう。
ガチャッ
横から見たらこれめちゃくちゃリアルなヴァーチャルの絵だった。なんちゅう騙し方してくるんだ。さてと、次こそ本物だろ。
今度も雷管二丁持ちでやってやろう。
よっしゃー!!行くぞーっ!!
あら五ぉ…あ四…あ三…あ二ぃ…あ一ぃ…
いっちゃってぇぇ〜
ドーーーン!!!!
ドーーーン!!!!
ガタン!
「何事だ!!銃撃か!!」
やっと起きたか。
「隊長、寝過ぎです。」
「もっと他に起こし方あるだろ!」
「昨日のお返しです。」
体調は寝癖もついてみっともない姿だったが、めちゃくちゃ早朝に起こされた人みたいで、ちょっとまだ眠そうだった。
「ちょっと待ってくれよぉ〜…」
待てるかよ。時間に遅れる。
「待てません。時間がやばいんですよ。今何時だと思います?」
「え?7時じゃないの?」
「8時半です。時計の時間ずれてますよ。」
「ゑ?そんなバカな?」
「もうやばいですよ。訓練開始まではと十五分ですよ。」
「やばいなぁ…シクったみたいだ。」
酔っ払ったみたいにヨレヨレなサンダース隊長をおんぶして私は全力ダッシュでまたデッキに向かった。
誰かのせいで足攣りそう…
「やっとついたみたいだ。ありがとうエース…」
頼むからしゃっきりしてくれ。私以外の訓練生が皆待っている。
「オペレーター頼みますよぉ〜。隊長。」
「わかっとるわ。」
私は急いでプロテクタースーツを着て、機体の調整を5分で済ませてそのまま稼働を確認して、そのままブースト可能区間に出た。
スラスターを一気に吹かして第三訓練広場まで向かった。それにしてもスラスターのこの推力は新鮮な感覚だが、全然扱える。
なんたらまだまだ余裕がある。まあ、常日頃から扱ってきたからな。おっと、通信が入ったようだ。無線をつけよう。
『聞こえるか。こちらサンダース隊長だ。今オペレーター室から手伝ってやってる。』
隊長のお出ましだ。元気そうで何よりだ。
「聞こえている。あと、そろそろ訓練場に着く。」
『わかった。』
その後、訓練場に着いた。そして教官の機体が現れた。おそらく私の機体の一つ上のクラスである第五等級ものだろう。さすがだ。
『俺の名はアレクサンダーだ。これからお前らを厳しく扱く。まあ、せいぜい頑張るんだな。早速だが、お前らにはアームドスーツと訓練弾及び訓練刀を用いて対騎戦をしてもらおう。』
『教官がアレクサンダーとは、だいぶ厳しい1日になるぞ。』
「そうか。まあいい。それに着いていける自信がある。出なきゃここにいない。」
『その調子で行け。』
その後、サンダース隊長と無線を切って、対騎兵戦闘を行うこととなった。まあ軽く言ってアームドスーツ対アームドスーツだ。
人数を数えると、ここにいる訓練生だけでおそらく二十人はいる。全員配備されている機体が違う。まあいい。頑張るとしようか。
『お前は上位士官のようだな。まあ、よろしく頼むぜ。俺の名前はスピアーノだ。よろしく。』
隣の訓練生のようだが、油断はできない。噂によれば一番強いだとかなんとか言われてる。
「ああよろしく。私の名前はエースだ。このあと私と当たるみたいだな。よろしく。」
『エースか。いい名前してんじゃん。君には俺の引き立て役になってもらうかもな。』
相当なクズを引いたようだな。まあいい。無視しよう。
『お前ら!訓練の時間だ!じゃあまずはスピアーノとエース!お前らからだ。』
「了解です。教官。」
私はそのまま戦闘訓練場に入った。武装設定はアサルトライフルに高弾速リニアライフル、八分裂ミサイルにブレードのカスタムだ。
とりあえずブレードは背部ハンガーに積んでいる。相手は両手近接に軽量逆関節機、センチュリオン機動型みたいだ。近接持ち込みは避けたいな。
『それじゃあ準備はいいな!戦闘開始!!』
『とっととくたばれ!!』
いきなり鋭い速度に任せた突きを入れてきた。後ろ手クイックブーストで、ライフルのブレード接触部すり減らして交わした。
「危なっ!」
『やるねぇ。後ろ手を使うとは。』
しかし、相手は一向に近接に持ち込んでくる。まるでスズメバチのようだ。さあどうする…?
一旦息を深く吸い込もう。そして目を閉じるんだ。感覚に任せてみよう…あっ、今鋭い突きがくる…!隙がない…
ん?待てよ、相手は突きだけをするように見せかけて横に切ろうとしている…?
なるほど…接近は避けるべきか…でも、重量あたりの推力と合計遠距離火力で言うならこっちが有利だ…
ならライフル戦に持ち込もう。
『なぁに攻めてこないの?ほらほらぁ!!』
『エース攻めろ!押されてるぞ!全く、まだまだ未熟な訓練生だな。』
「教官、黙っててください。まだ攻め時ではない。ここで攻めては速度で負ける。だから待つんだ。」
『そうかよ。さぞかしやってみるんだな!』
また鋭い突きが来た。ただ何か違う。わかった。今だ!
目を見開き相手を見る。そしてそのままミサイルを撃った。
ミサイルはそのまま分裂し相手を追いかける。
しかし、着弾直前に全て避けられた。
だが…これも計算済みだ。
土埃が上がり、見えづらくなったところで相手の背後を取ってからブレードに持ち替えてからキックで一気に足を払う。
そして手首から切り落としてそのままライフルでカメラアイを撃ち抜く。チェックメイトだ。
そのまま右手のライフルを相手のコックピットに向ける。もちろん、フルチャージだ。
『あの一瞬で一体何が起きた?!』
『エース!よくやった!お前には才能があるみたいだな。』
「ありがとうございます。」
私は持っている銃を下げた。そして、相手の機体の手を取って起こしてやった。今回はあくまで訓練だ。実際に切れたわけではない。
『やるなぁ、お前。見直したよ。』
「負けるわけにはいかないからな。ほんとだったら死ぬからな。」
『ハハっ、そうだな。』
『エース、あとで俺のところに来い。やりたいことがある。』
教官からの呼び出しだ。絶対今朝の件だな。とうとうクビか?
いや早い。ギネス世界記録更新できるかも?名目は最も早くクビになった人。
うん、最悪だァァァァァァァァァァァァァァ!!
その後、他の人の対戦も見たが、やはりスピアーノほどではなかった。注目に値する人物はなかった。
その後、また着々と勝利を収めていき、結局訓練生の中のトップランカーになった。そして今度は教官のところに行った。
『エース、今この場で私と戦ってもらおう!』
なんで〜。詰んだ〜。
「ちょっと待ってくださいよ。それどう言うことですか。」
『言った通りだ。今から全訓練生集めてやるからとっととやるぞ。』
参ったな。これどうすんだよぉ〜。サンダース隊長ぉ〜。
『どうにかしろ。先に言うが、俺にも勝てない相手だ。』
はぁー。まあいい。勝負するしかないか。
また私は訓練場に行き、教官と並んだ。相手は安定度重視の中量二脚、インディバル後期型だ。
第五等級の現行アームドスーツにおいて三大アームドスーツの一つだ。まともに戦って勝てる相手ではない。
『じゃあ行くぞ!準備はいいな?』
今回も同じ武装だ。相手は片手ブレードにマシンガン、グレネードランチャー。いけるか?しかも、よく見たらあれ拡散グレネードランチャーのセッティングだな。
「はい。では行きましょうか。」
『それじゃあ、戦闘開始!!』
ラッパのような教官の声が響き渡った。まずは相手の出方を伺おう。
そうして始まってから教官は私に中距離まで一気に接近し、その距離を保ちながらマシンガンを撃ってくる。こっちもライフルで引き撃ちしているが、相手は全部避けてくる。
合計推力も重量も負けてる。マジであたらねぇ。
こっちは跳弾だらけだがたまに少し当たってる。
『どうした!?かかってこい!』
無理。近接に今持ち込んだら勝てるわけない…
そう思った瞬間、一気に相手が接近してきて、ブレードで斬りにかかってきた。危なっ!
再び後ろ手で交わすと今度はグレネードランチャー。ブレードを振って弾を切断してなんとか回避したが、普通に真似できる芸当ではない。
そしたら今度はキック!
避け損なったようだ。左手に命中した。
くそっ、リニアライフル側の手の反動制御能力が低下したか。
アサルトライフルをパージ!武器を持ち変える。ただ、相手は隙を与えてこない。
ずっと中距離でマシンガンを撃ちながらゆっくり距離を詰めてブレードとグレネードのコンボだ。
ん?待てよ、相手の動きは連続的。常に進んでくる。これを途中でいきなり崩せば相手のリズムが狂うはず。
よし!やってみよう。そのままブレードで斬りにかかってきたところを今度は後ろでではなく、正面でブレードを打ちつけた。
『何ぃ!後ろ手ではないだと!?』
安定性能なら四脚のこっちにアドバンテージがある!いける!!
そのまま重量と推力で押し返した。相手はグレネードランチャーは自爆するから使えない。相手のマシンガンはリニアライフルの銃身で払い除けた。
ここで銃身の長い武器は有利だ。そして一気に押し切り、ライフルをチャージし切った。そしてグレネードランチャー目掛けて発砲した。
ドカーーン!!!!
後ろの部分から赤い爆風が走る。訓練弾とはいえ火薬はある。そして一気に教官の機体を包み込んだ。一瞬だけ相手が怯んだ。
その隙にライフルで間接を狙い、足を打ち抜いた。あとはライフルでカメラアイを打ち抜き、そのままブレードで突いた。
チェックメイトォ!!最後にライフルをチャージしコックピットに照準を合わせた。
『参ったな。こいつは降参だ。お前が不正してないかが知りたかっただけだ。』
は?どうして俺が不正したと思われているんだ?
「なぜ私が不正をしてると考えたのですか?」
『実はスピアーノはお前らを扱くために準備した訓練生ではない、マジの戦闘員だ。
それでこれで戦場は簡単に生きて帰れないことを言いたかった。だが、お前がそれを変えた。』
「教官…そいつはないっすよ…」
『すまないな。こんな疑いをかけて。だが初めて戦ってみたが、
お前、強いな。訓練兵に言うのもおかしいが、お前になら肩を預けられる。』
嬉しいがなんとも言えない。だから訓練兵の中には値する相手がスピアーノ以外いなかったのか。
納得がいくが、その教え方はどうかと思うぞ?まあ、命かかってるならこんだけ扱かれても問題ないが。
『さて、今日は終いだ!皆解散!』
おっしゃあ!!そのまま直帰してやる!!
『まてエース!お前は明日からの基本講座にはこなくていい。そんだけの実力があるんだ。上の方には伝えておく。』
「わかりました。」
そしてまた帰路に戻った。
『どうだった?』
サンダース隊長は興味津々のようだ。まるで子供みたいな聞き方だった。
「勝った。それもなんとか逆転勝ちだ。」
『おお!!凄いじゃないか!!第五等級を第四等級で薙ぎ倒したのか!』
「そうだな。そういえことだ。」
『凄いじゃないか!!』
その後はすごいの嵐だった。そして訓練場から戻って私のデッキに着くと、そこには多くの人が押し詰めていた。
機体をデッキに戻してコックピットから出ると、全員あそこにいた訓練生だ。
「君すごいなぁ、あの教官に勝つのかよ!」
「驚いたよ。」
「俺と違って才能あると思うよ!」
そしてそこには見たことあるヤツがいた。そう、サンダース隊長だ。
「お前は俺の誇りだ。」
「オヤデモナイノニイウナァ-」
「そうだな。それにしてもだいぶ冷たいじゃないか。なんでそんな棒読みなんだよぉ。」
「ソラソーダオヤデモナイノニイウナァ-」
「へっ、別にいいけどさ、いい加減機嫌戻せよ。あともう遅いから機体の荷物まとめたら寮に戻るぞ。」
「わかりました。」
さてと、今日で基礎訓練が終わり、明日から戦場に出て…って待てよ、もう十分普通のメンツとおんなじじゃね?まあいいや。
明日は明日の風が吹く。どうにかするさ。そして荷物をまとめて、いつもの帰路に着く。
そして安定の場所に着いた。制服吊るして、風呂に行き、飯を食って、歯を磨いて、ギター弾いて、おやすみぃ!!
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