第2話

 村に帰ると、村をあげての出迎えに遭った。なんでも、ソニア様が


「ソウヤ様はどちらに!?」


 とお聞きになったので村の外に行ったと伝えると、少数の護衛を連れて村から飛び出してしまったそうだ。

 なぜそんなに俺に会いたかったのだろうか?考えられるとすれば【採取】スキルに関することだが……。気になりはしたが、お互い疲れているということでソニア様とは別れ、俺は俺で別の用がある場所へ足を運んでいた。教会である。


「やはり、新しいスキルを得たのだろうか?」


 そう、蛇の魔物からのドロップアイテムの件である。二つ落ちるなんて、ましてや武器が落ちるなんて聞いたことがなかったので、新しいスキルのおかげかと思ったのだ。

 教会ではスキルの確認ができる。なんでも、スキルとは神からの授かりもので、【神託】スキルを使うことで確認することができるとのことだ。一般に、六歳の誕生日に一度無料で神託を受けられ、生まれつきのスキルを確認できる。それで自分の向き不向きを確かめるわけだ。ただし、その後も確認ができないわけではない。教会にお布施を払えば、何歳になっても確認してもらうことができる。

 俺は一回確認したきりで、六歳のときは【採取☆】だけだった。他の奴らが【剣術】とか【魔法】とかのスキルを持っているのに比べて地味だなとは思ったけど、別に不満があったわけではない。強いて言えば、☆が付いていることに特別感を感じてはいたけれど。そういえばそれ以降も、他に☆が付いているスキルを見たことがない。この☆ってのはなんなんだろうな。



 そんなことを考えながら教会に入る。教会と言っても、普通の木造一軒家に木彫りの神像が置いてあるだけの建物である。田舎だしな。そんな立派なものではないのだ。なんて考えていたらバチが当たるだろうか。

 神像の前まで歩いていき、この教会の主である神父に挨拶をして、お布施を払い、跪いて目を閉じる。一分ほどそうしていただろうか、神父の


「目をお開けなさい」


 という声に合わせて目を開ける。神父が羊皮紙に向かって手をかざし、ぶつぶつと何か言っている。呪文を唱えているのだ。この神父は【神託】以外にも【魔法】スキルを持っており、羊皮紙に神託の結果を焼き付けることができる。聞くところによれば、そうではない神父もいるようで、そういう場合は口頭で伝えたり、自力で書いたりするのだとか。大変だなあ。

 さて、神託の結果だが……



 スキル


 【採取☆☆】


 【採取道具☆】


 【高速採取☆】


 【万物採取】


 【草薙剣】



 となっていた。いや、スキル多すぎィ!?

 普通の人はスキル一つか二つ、多くて三つというのが常識である。五つとかもうね、化け物だよ。

 あと☆問題。なんか【採取】の☆増えてるし。☆付いたスキル【採取】以外にもあるし。謎だ。

 まずは【採取道具】だが、これは採取に使う道具の扱いに関係しそうだ。ツルハシとか。

 【高速採取】は読んで字のごとくっぽい。採取の動作が速くなりそうな感じがする。

 【万物採取】って……何だこりゃ。なんでも採取できるってことだよな。もしかして、魔物の牙が一発で折れたのって、これのせいか?牙を採取した、みたいな。

 牙を採取した?部位破壊が採取に入るとしたら、【採取】スキルの効果が乗る?採取の効果、つまり部位破壊のダメージが倍になったから部位破壊しやすくなる、とかかな?飛躍しすぎかもしれない。まあ、使っていくうちにわかるだろう。

 最後の【草薙剣】については何から何まで謎だ。さっき手に入れた剣に関係していそうだということくらいしかわからないな。



 まとめてみると、ドロップアイテムに関連していそうなのは【採取】と【草薙剣】だな。ドロップアイテムが二つなのは、魔物の討伐が採取行動に含まれるということだろう。そして剣が落ちたのは【草薙剣】の効果……いや、こちらについてはドロップが先かスキルが先かはわからないか。



 そうしてスキルの確認を終えた俺はようやく自宅に戻り、新しいスキルのことについて色々と考えながら眠りにつくのだった。

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